――ミュージカルには必須の歌の掛け合いですが、リモートならではの難しさを教えてください。
最初の頃は画面がフリーズしたりしてそこに時間を取られましたね。結局、本番はアプリを取り付けてリモート風に撮影したので電波は大丈夫になったんですけど(笑)。
顔を合わせてお芝居をする感覚とは全然違うから、画面越しに相手の微細な表情の動きを読み取れるように意識したり、カメラワークが変わらないので普段寄ってもらっているところを自分から寄りにいったりすることは必要でした。
あとモノローグも多かったので画面に写るアングルも自分で計算しながらやることは、キャストの共通の課題でしたね。
――制作期間が短かったとのことですが、他にも大変だったことはありますか?
歌を覚える時間が短かったことです(笑)。顔合わせの日にまだ曲を作っていて、届いたその日から2日後くらいにはレコーディングだったので。
でも、たとえ1年後に見ても共感できる普遍的な作品にしたいと思っていたので、突貫工事に思われたくないし、期間がなかったことを言い訳にもしたくなかったので、一生懸命向き合いながら大切に作りました。
――ストーリーについては、どんな感想を思いながら演じましたか?
前半はコメディー要素が入っているなと思っていて、リモート飲み会で集まったハンコを売っているお店の5人がかけ合う姿にクスリと笑ってもらえたらいいなと思いながら演じていました。
後半は、徐々にみんなが自粛中に抱いていた気持ちだったり、素直に伝えられないことを各々が明かしたり受け取っていく作品なので、しっかり心にも寄り添えたらいいなと思いました。
――演じる役柄には共感を持てましたか?
思ったことを素直に言えないところとか、自粛期間中に抱えているもやもやを先輩に伝えようとして打った文章を、途中でデリートしちゃう姿は分かるなと思いました。
あと、勇気を振り絞って伝えた後に関係性がぐっと変わるところも、日常生活であることだと思うので、すごく共感できましたね。
――生田さんは思ったことを言えるタイプ、言えないタイプ?
言えないタイプだったんですけど、意識的に伝えようと思って言う派ですね。どちらかというと人に合わせるタイプだったので、なかなか自分の意見や思っていることを素直に伝えるのは苦手でした。
でも、この仕事をするにあたってちゃんと言葉として伝えなきゃダメだなと思うようになってからは、話すようにしています。
――共演者の方とは演技について相談はされましたか?
橋本じゅんさんにはお芝居の相談をさせて頂いていて、声の表現とか抑揚をつけるアニメのような意識を持った方がいいとアドバイスして頂きました。
それまで私は演技の考え方として感情や相手から受け取って感じたことを表現するやり方だったので、声に高低差を付けたり、耳で聞いた声が印象に残るように意識する演じ方は初めてですごく勉強になったし、演技の幅が広がりました。
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