綾野剛×星野源「MIU404」が描く“新しいバディ” 野木亜紀子脚本が生み出すキャラクターなぜ魅力的?

2020/07/17 07:15 配信

ドラマ コラム

王道刑事ドラマの中での「MIU404」の“新しさ”


「MIU404」第1話より(C)TBS


MIU404」は、大雑把な括りで表すと刑事ドラマの部類に入る。刑事ドラマと言えば、「相棒」(テレビ朝日系)や「踊る大捜査線」(フジテレビ系)など数々の名シリーズを生み出してきた王道中の王道ジャンルだ。

だが、「MIU404」はいい意味で王道を感じさせない。扱う事件から、物語の内容、登場人物、セリフまで視聴者に新しさを植え付ける、“外し”が仕掛けられているのだ。

たとえば、“今”を強く反映した内容と構成が挙げられる。あおり運転・底辺YouTuberの見境ない視聴回数稼ぎ・SNS上での正義を振りかざした私的制裁など、タイムリーな社会問題を扱っている一方で、「キュルッ」「ウフりたい」など耳なじみはないがキャッチ―で意味はわかる言葉や思わず笑ってしまう掛け合いが要所要所で登場。

「MIU404」第1話より(C)TBS


日常生活でのストレスや心配事が後を絶たない今、あまり重すぎる内容だと、お茶の間は気楽に見ることができず、どこか構えてしまう。そのため、重厚感と軽快さの塩梅を絶妙にし、深刻な問題も言葉やキャラクターというポップな外し演出で、視聴者が疲れないように工夫されている印象だ。

また第1話で見せた、海外ドラマ並みに派手で本格的なカーアクションだったり、第2話から登場した“まるごとメロンパン”の車両だったりと、今、日本の刑事ドラマであまり目にする機会がない視覚的なインパクトという外しも施されている。

“新しさ”という意味で特に注目したいのは、個性が強い登場人物たち。刑事ドラマの中でもバディものは、最も王道ではないだろうか。そこで、主人公・伊吹×志摩のバディに感じる“違和感”に迫りたい。