塩野瑛久「HiGH&LOW THE WORST」インタビュー! 追求したのは、小田島の人間らしさ

2020/07/21 19:00 配信

映画

轟とのタイマンで表現したかった小田島の人間らしさ


――前田公輝さん演じる轟との対比にも注目が集まりました。河川敷のタイマンでは、前田さんは轟の心情を考えて「早く終わらせたい」という気持ちで演じていたとのことでしたが。

塩野:僕は、少しでも長く戦っているところを見てもらいたかったですね。実は小田島が倒された後、奥歯をいじって唾を吐いて、「もう一戦やるか」と構え直すところまで撮影してたんですよ。カットされてしまいましたが…唾を吐いたのが良くなかったのかな(笑)。

「THE WORST」では小田島のバックボーンはあまり描かれていませんし、そういうところでもっともっと小田島という人間を表現したかったんですが。

塩野瑛久


――ちなみに、どのような構えを?

塩野:小田島のファイトスタイルは、那須川天心さんのような感じですね。頭を守りながら、肘で弾いて殴るのが基本です。アクション監督の大内貴仁さんが考えてくれました。アクションは演技を見せる前に組まれているものなので、僕たちはその出来上がったアクションの型を自分の芝居に落とし込むんです。

小田島も元々は“正統派ヤンキー”という感じで、無防備じゃないカチッとした型でした。それを崩しながら自分の芝居に落とし込んでいきましたね。轟とのタイマンでも、轟の手を取った瞬間に力を抜いて笑ってみたり…。

――完成した作品からも、小田島のキャラクター性は十分伝わってきました

塩野:それはありがたいです。団地の戦いの後、サングラスのレンズを片方落としたのも“ユルさ”や人間味を出したかったからなんです。

これもカットされてしまいましたが、鳳仙のスキンヘッドの仲間がレンズを拾ってくれて「小田島さん見つけました!」「おお、どこに落ちてた?」っていうやりとりもあったんですよ(笑)。四天王とスキンヘッド軍団も、ただの幹部と部下という関係性ではなくて、コミュニケーションはあるはずだと思って。

「HiGH&LOW」の世界観はカチッとしたカッコ良さが魅力ですが、鳳仙は高橋ヒロシ先生の世界から来ているので、そんな風に“普段カッコいいヤツの崩したところ”も見せたかったんです。

“絶望団地”での戦いに臨む小田島