2020/07/28 11:55 配信
森川が起用された企画で考えると、狭い世界の難しい技に対して、彼女が冷静に分析して確実にクリアしていく…“若手女優×マニアックな世界”という掛け合わせで生まれる相乗効果も、番組の知名度を上げた要因の一つだろう。
「狭い世界の面白さってあるじゃないですか。服のシミ抜きとか、石積みとか、狭い世界を極めている達人を軸にして、当初は達人の思いを描こうとしていました。そこに彼女が入っていって面白さが増し話題になりました。
企画のどこに安定した面白みを置いて、どこで新しいチャレンジをしていくか、そのバランスは意識しています」
番組を作るに当たり、ほかにもこだわっていることがあると明かす。
「『一人の出演者に対して、一人のディレクター』で一つのチームにしています。僕は20数年テレビ業界にいますが、私の経験上では、このやり方は珍しい方です。
でもこのやり方だと、自分たちのVTRで何が面白いのかを出演者と一緒に考えるようになる。森川さんの企画もその結果、知られざる達人の世界を紹介するという王道なところから始まって、“ワイルド・スピード森川”がバズるまでになりました(笑)。
それと『森川さんに才能があったことを最初から見抜いていました?』ってよく聞かれるのですが、それはなかったんです(笑)。
ただ実際のロケを見ていてすごいなと思うのは、圧倒的な集中力で、現場に入ったら達人の技をトレースするんです。経験はゼロですが、『そうやってやれば出来るんだ』『人がやることなんだから出来る』と、瞬間的にものすごい集中力を発揮して成功しちゃうんですよ。僕らが休憩しようと言っても全然休まないしご飯もあまり食べない、達人と『これはどうしたら…』って会話していたり、一人で練習していたりと、ゴールに到達するためにずっと集中しているんですよ。
センスでたいていのことは成功しちゃうし、下手したら巻いて終わるんですけど、出来ないとそれが悔しいみたいで『もうちょっとやらせてください』って、頑張り続けるセンスもあるんだなと見ていて思います。僕は『失敗したら失敗したで面白いから良いんだよ』っていつも言うんですけど、負けず嫌いだから失敗した自分が世に出るのがイヤみたいです(笑)」
森川自身、収録を通して「明るくなったと思います」とインタビューで語っているが、番組Pも同感だと話す。そして彼女は見事、本番組発のバラエティースターと言える存在感を示し、他のバラエティー番組のオファーも相次いでいるそうだ。
「最初の頃はスタジオでもほとんどしゃべれないくらいでしたが、おかげさまでこの番組を代表して『行列のできる法律相談所』を含め、バラエティーのオファーも来ているそうです。この番組にはバラエティーの法定速度を守らない女優さんということで出てもらっていますが、これからもそれを楽しんでもらえる番組として続けられたらうれしいですね」
本番組では、森川以外にも、芸人のアキラ100%、タイムマシーン3号の関太(せき・ふとし)、Wエンジンのチャンカワイ、グラビアアイドルで劇団4ドル50セントの劇団員の安倍乙など、新たなキャラクターを次々に発掘している。彼らを起用したワケと魅力を、番組Pはこう明かす。
「僕らはこれも約束事にしているんですけど、出演タレントを先に決めません。番組コンセプトの『ウマい話や疑わしい話を検証した結果をリアルに見せる』ことが最優先。
僕は視力が良くないのですが、『遠くを見たら目が良くなる』というウワサがあっても、実際に1週間ずっとやることって、絶対挑戦しないじゃないですか。蚊の企画も、息子がよく刺されることから考えましたが、実生活で試すことってないですよね。
正直なところ、時間をかけて検証するのでその予定が取れるという条件はもちろんあるのですが、検証に対して『最後まで真面目にやってくれそうな人』を絶対選びます。それがチャンカワイさんにお願いした理由です。視力の企画を受けてくれた時には、『一週間遠く見てないとダメですね!』って (笑)。普段かけている眼鏡も一週間外して生活していましたし、空き時間に携帯電話をいじり出したりゲームをやったりもせず、素直で真面目な方なんです。
そして他の方も同じで、1カ月毎日肉を食べたら日本一肉食った男になれるんじゃないかっていう企画をお願いした関さんも、絶対サボらずに食うヤツなんですよ。安倍乙ちゃんも一週間フラフープを回す企画で本当にやり続ける。
たとえば人気タレントを起用して二時間のロケで取りきる番組を考えるよりも、僕らは一週間スケジュールをもらって演者と制作側がガッチリ組んで、腹を割って臨む番組にしたかったんです。
正直なところパッと見は豪華な顔ぶれとは言えないかも知れませんが(笑)、熱量はめちゃくちゃかけてやっています。最近やっと、そういった思いでロケに臨む姿勢が映像に表れていることが浸透してきて、安倍乙さんがバズったり、番組名とともに『#チャンありがとう』がTwitterトレンド入りしたり、という結果に繋がったんだと思うと、本当に良かったです」
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