伊東歌詞太郎のニューシングル「記憶の箱舟」が7月29日にリリースされる。この曲は、新進気鋭の実力派スタジオ「NUT」による完全新作オリジナルTVアニメ「デカダンス」のエンディングテーマとしてオンエア中。今回のインタビューでは、「記憶の箱舟」の制作エピソードをはじめ、22日に発売されたエッセイ「僕たちに似合う世界」の同名イメージソング、40mPとの共作「TOKYO-STATION」について語ってもらった。
――新曲「記憶の箱舟」は、アニメ「デカダンス」のエンディングテーマとして既に放送されている曲ですが、どんなイメージで作られた曲ですか?
今回はアニメのタイアップということで、自由に作るというよりは“題材”をいただいて作る感じになりました。アニメの「デカダンス」という作品全体が僕に与えられた題材だと思うんですけど、こういうふうに題材があって作る場合に気をつけていることがあります。
――それはどんなことですか?
伊東歌詞太郎、そして「デカダンス」。それぞれに世界観があって、どっちかに寄ってしまったら、もう一方に失礼だと思うんです。伊東歌詞太郎の世界観全開で書くと「デカダンス」に失礼だし、「デカダンス」に寄り過ぎると伊東歌詞太郎をこれまで聴いてきてくれた方たちに失礼になるんじゃないかと。かと言って、両方の間を取るというのは一番やっちゃいけないことなんです。
「デカダンス」という作品がこの世になかったとしても「記憶の箱舟」を伊東歌詞太郎がリリースして、ライブで歌っても「あぁ、そうだよね」って思ってもらえて、伊東歌詞太郎じゃない人間が「記憶の箱舟」を作って「デカダンス」のエンディングテーマになっていても「あぁ、そうだよね」って思ってもらえるのが理想なんです。
――「記憶の箱舟」という曲単体でも成立し、アニメのエンディングで流れた時にも納得してもらえる曲ということですね。
そうですね。自然に生まれた中で、それが「デカダンス」にハマる。そこを狙わないといけないなって。題材がある曲作りの場合、作り始める一歩前に「ここだ!」というところを見つける必要があります。でも、それを見つけてしまえば、一歩目からはいつも通りの曲作りと変わらないんです。
今回の「デカダンス」に関しては、見つける作業も楽でした。主人公のナツメの生きていく様や、その世界の中で彼女がどう“もがいて”いるのか、というのが自分が普段感じたりすることとすり合わせることなく重なってくれたので。ということは、「デカダンス」の中で起こっていることを自分の中に落とし込むだけで、自分が思っていることを偽りなく、嘘なく、見栄なく、誇張することもなく作れるなって。いつも自分が曲を作っている感覚と何か特別に変えたりすることがなかったので、そこはラッキーだったと思っています(笑)。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)