「SP 革命篇」の監督が語る「岡田准一君が寄与するところは大きかった」

2011/08/25 23:05 配信

芸能一般

ドラマ版の演出を手掛け、「野望篇」「革命篇」の監督を務めた波多野貴文監督

フジテレビ系で'07年~'08年に放送され、深夜ドラマながら高視聴率を記録した「SP 警視庁警備部警護課第四係」。その完結編となる劇場版2部作の後編「SP 革命篇」が、3月5日にフジテレビ系でオンエアされたスペシャルドラマ「SP 革命前日」とともに8月26日(金)にDVDとブルーレイでリリースされる。「SP」は、岡田准一ふんする、特殊な能力を持つSPの井上らがテロリストと戦う物語で、直木賞作家の金城一紀が原案・脚本を務めている。「革命篇」では、ずっと謎の動きを見せていた、井上の上司である尾形(堤真一)が仲間と共に国会議事堂を占拠、井上ら“四係”がそれに立ち向かう。「SP」をドラマシリーズから手掛けてきた波多野貴文監督に話を聞いた。

――ドラマ版から追いかけていたファンには、待ちに待った完結編だったと思います。終わってみていまの心境は?

観客の皆さんの想像に委ねているところが非常に多いので、作品は終わったんですけど、まだまだ成長していく、観客の皆さんに育ててもらえる作品なのかなと思っています。

――ドラマの終了から映画の公開までずいぶん時間が空きました。

日本で(「革命篇」の前作にあたる)「野望篇」のあのアクションをやりたい、というのを実現させるためにロケ地を探しました。地方だと撮影はしやすくなるのですが、東京で撮影することに意味があると思っていたので、そこにこだわりたかった。それと国会を再現するにあたって見学や調査をしなきゃいけなかったこともあったので、ちょっと時間がかかりましたね。

――岡田さんは撮影前、肉体改造して格闘技を習得されたりしたんですよね。岡田さんが撮影現場でアクションのアイデアを出したりとかもあったのでしょうか?

撮影現場でアイデアが出たからといって、それをやろうとするとけがするので、基本的には撮影現場は撮るだけにしようと決めていました。金城さんの脚本には、アクションの流れがだいたい見えるような感じでト書きが小さく書いてあるんです。それをみんなでもんで、撮影のカット割りも決めて練習しますが、その時に岡田君はアクションスタッフみたいな感じで入ってくれるんです。僕が他の場所で打合せしている時は、2時間とか3時間とか撮影所で待っててくれたりして。すごく彼が寄与するところは大きかったですね。

――革命篇のメーンの舞台は国会議事堂です。セットでの撮影とのことですが、ものすごくリアルで存在感がありますよね?

美術さんは本当に頑張ってくれました。何度も打ち合わせをし、見学に行き、美術チームとVFXチームで協力して、完全再現といっていいくらいのものだったと思います。

――本会議場だけではなくて周りの廊下とかも…。

そうです。大理石の質感とかも、テカリの具合をカメラを通して何回かテストして決めてたりします。木目も写真に合わせて全部手書きで描いてくれたり。

――今度発売されるブルーレイとDVDの特別版には未公開シーンが収録されているそうですが。

革命当日の日に、井上と新四係がエレベーターで出会うシーンというのがあります。丸々カットしているのですが、本当のオープニングの井上の出番はそこだったんです。

――実はそこからすでに井上と彼らの間に因縁があったと。

だから四係の部屋に入ってくるとき、彼らが険しい顔をしている理由がわかります。それと井上が国会議事堂の3階から1階に降りる時のシーン。窓をコンコンってたたいた後(手に指を当てて)シーってしてるところが(公開前に)写真で出回ったんですが、映画を見たファンが「あのカットがない!」と。皆さんの要望にお応えしました(笑)。それ以外にも特典映像には国会議事堂の完全再現の過程とかも入ってます。どうやって国会を攻めればいいのかがわかるかもしれないですね(笑)。

――このDVDやブルーレイを繰り返し見ることで、ファンの間でまた新しい解釈が生まれて、新たな世界が広がりそうですね。

「堤さんが最後に倒れている場面、足が四の字になっているのは“四係”ですよね」とか(笑)、「タロットカードの“吊された男”ですよね」って僕らが思ってもいないような解釈をされるんです。「なるほど、そうです!」って言いたくなるような(笑)。うれしいですね。

――見終えると、この「革命篇」は終わりではなく、もしかしたらまだ物語は続くのでは?と感じましたが。

今回の作品は、これが終わりですという提示をしたくなかったんです。これ以降はみなさんの想像で育てていっていただきたい。見て終わりではなく、「あの後、尾形はどうなった?」って語り合うようになってほしかった。(上映が)終わった後、劇場のロビーがうるさければいいなあって思ってたんです。この前劇場へ見に行ったら、(ロビーでは)「謎残ってるよね~」って騒いでいて、「よしよし、ありがとう」と思いながら帰りました(笑)。