“中継の醍醐味”と“演出によるエンターテインメント性”で楽しむ「プロ野球ドラフト会議」

2020/08/25 12:00 配信

芸能一般

プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD写真提供:野球太郎

7月9日に「第10回 衛星放送協会 オリジナル番組アワード」の各部門最優秀賞が発表され、中継部門では「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」(スカイA)が受賞した。

同番組は、2019年10月17日に東京都内で行われた、プロ野球の2019年度新人選手選択会議の模様を完全生中継したもの。

中継の醍醐味といえば、やはり現場の空気感をそのまま受け取れることだろう。そんな中で、同番組はさまざまな人たちの思惑が交錯し、胸の内を雄弁に語る表情が見どころだ。

各球団のオーナーや監督たちの入場時の引き締まった表情、一巡目の指名選手が重複した時のなんともいえない顔、見事に交渉権を獲得した瞬間の喜びの顔、交渉権獲得後のインタビュー時の安堵した表情などに加え、選手たちの自身の運命が決まる瞬間を見つめる真剣なまなざし、さらに、それらを見つめる現場のプロ野球ファンの反応などだ。

多くの人々のさまざまな感情が同時多発するヒリヒリした空気感は、まさに球場外で行われる真剣勝負そのもので、試合とはまた違った興奮が味わえる。

以上の醍醐味に加え、番組を彩る“演出”も見る者を楽しませてくれる。それは、選手を紹介する印象的なプレー映像と、スポーツライター・小関順二、西尾典文の解説だ。下位指名選手でもすぐにプレー映像を流すことで、アマチュア野球にあまり詳しくない視聴者にも寄り添っているし、2人の解説が面白い。「キャッチャーが欲しいはず」「左(の投手)が手薄なので」「来年よりその先を見ている気がする」といった各球団の事情や、選手のどの部分が評価されているのかを語るほか、抽選結果が出た瞬間の「おぉ~!」と思わず声を漏らすところがいちプロ野球ファンの一面が見えてエンターテインメント性をもたらしている。

中継ならではのヒリヒリした空気感と、“演出”による分かりやすさとエンターテインメント性を堪能していただきたい。

文=原田健