――また、注目を集めそうなのが菅田将暉さんとコラボした「サントラ」です。Creepy Nuts自体、他のアーティストとコラボする機会があんまり多くはないですよね。
R-指定：自分らの作品にボーカルを呼ぶのは初めてやし、グループとしてコラボっていうのは数えるほどですね。ラッパーのオレだけが客演することは多いんですけど。
――小沢健二さんとスチャダラパーがコラボした「今夜はブギー・バック」的なイメージもあったそうですが、曲の方向性はどうやって決まっていったんですか？
DJ松永：それは構図の話だったんですよ、「今夜はブギー・バック」っていうのは。
R-指定：オレと松永さんの中では「菅田さんは激しいロックやな」ということになってて。それをオレらとどう組み合わせるか、みたいな。
――歌詞としては、お互いの仕事がメインになってますよね。
R-指定：菅田さんと歌詞の話をしたとき、その多くを占めてた話題がお互いの仕事についてやったんです。オレらの「生業」が好きと菅田さんは言ってくれてたのもあって、仕事に着目した曲もありかなと。ただ、この曲はすごく時間がかかったんですね。最初、実は別のアプローチで制作を進めてたんですよ。歌詞としてもぼんやりと人間についてやったし、トラックも別物。で、「ちょっとパンチないし、全部白紙にする？」という話になって(笑)。
DJ松永：だから、時間に余裕があった自粛期間中じゃないとできなかった曲なんですよ。
R-指定：もし、スケジュールが詰まってたとしたら、その振り切った選択はできなかったかも。
――となると、歌詞もリスタートし、菅田さんとの会話から今の内容になったんですね。
R-指定：そうでしたね。ただ最初の”悩み事 隠し事 私事だらけを書く仕事”というフレーズは昔からあったものだったりもして。オレ、そういうのが多くて。5年前とかにあったフレーズが使えるような状況が整った、みたいな。
DJ松永：そういうの多いよね。
――今だからこそ、メッセージとして発することができるような。
R-指定：というのもあるし、今やったら形にできるということもあったり。
DJ松永：あとは、フレーズとしての完成度は高いけど、使いどころが難しいとかも。
R-指定：だから、最初はサビを考えて、その後にラップと、と思ってたんですけど、「あのフレーズが今かも」となって。そこから続けてオレと菅田さんの仕事についてを対比させて歌詞を書いていったんですよね。
――曲としてのまとまりもそうですし、菅田さんとCreepy Nutsの親和性の高さも感じました。
R-指定：それはオレも感じましたね。
DJ松永：声の並びはいいと思ってたんですよね、Rさんと菅田さん。
R-指定：言うてたね。声の相性はいいはず、って。
DJ松永：あとは菅田さんが歌うところにどうつなげるか、みたいな。
――菅田さんが歌い上げるサビは力強く抜けがいいですよね。
R-指定：オレとしては、菅田さんが歌う想定で作った言葉やメロディーなんですけど、実際にレコーディングしてみたら「めっちゃ早口！」って言われて(笑)。やっぱ、オレはラッパーなんやなって思いました。
DJ松永：このサビは今まで作ってきた曲の中でも最もシンプルだけど、菅田さんが歌ったのを聴いて（R-指定が作るサビは）めっちゃシビアにリズムを刻んでると改めて感じましたね。すごくリズム感も要求されるし。
R-指定：でも、そこを乗りこなせる菅田さんの能力、歌った瞬間に色がつく感じもすげえなと思いました。
取材・文＝ヤコウリュウジ
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