Creepy Nuts『かつて天才だった俺たちへ』リリース!「生命活動にとって、(ライブが)大事なものだったんだなと気づいた」【後編】

2020/08/26 08:05 配信

音楽

MCバトル日本一のラッパーとDJバトル世界一の2人によるユニット・Creepy Nuts。ラジオやテレビでも注目を集め続けている彼らがミニアルバム『かつて天才だった俺たちへ』を8月26日にリリース。インタビュー後編では、各曲について、またライブへの思いを聞いていく。

「かつて天才だった俺たちへ」をリリースするCreepy Nuts撮影=西村康


生命活動にとって、(ライブが)大事なものだったんだなとそこで気づいたんです


――菅田さんがもう1曲、ヴォーカルとして参加したTHE HIGH-LOWSのカバーである「日曜日よりの使者」。VIVA LA ROCKでスペシャルセッションした亀田誠治さん、ピエール中野さん(凛として時雨)、加藤隆志さん(東京スカパラダイスオーケストラ)、津野米咲さん(赤い公園)が再び集結し、豪華な顔触れが参加しました。

DJ松永:夢みたいですよね。「これだけの人たちのスケジュールが合うんだ!?」って。菅田さんのヴォーカルは別録りだったんですけど、バンドメンバーは全員が揃っての一発録りでしたし。

――そもそも、この曲はお二人がセレクトしたものだったんですか?

DJ松永:VIVA LA ROCK側がいくつか提案してくれた曲の中に「日曜日よりの使者」があって、そのときは「これでやろうか」ぐらいだったんですけど、やってみたらすっごいよかったんですよ。で、またどこかでやれればいいなと思ってたら、それが今回ハマったっていう。

――自分たちの物語を乗せたオリジナルラップを加えるというのは決めていた形?

DJ松永:当時から、あれに近いラップがありましたね。

R-指定:スペシャルセッションのオファーがあったときに「フリースタイルでいいんで、ラップも入れて欲しい」という話がだったんで、言うことの半分は決めて、残りの半分はフリースタイルで本番に臨んだんです。そのときのラップが元になってて。1番とかはもろそのまんまっすね。2番も歌詞としての微調整はしたものの、ほぼ一緒なんです。

――THE BLUE HEARTSの「未来は僕らの手の中」をTHA BLUE HERBがオリジナルラップを乗せ、「未来は俺等の手の中」というひと筋縄ではいかないカバーを発表してるじゃないですか。そんなことも少し連想しました。

R-指定:ただカバーするんじゃなくて、意味合いをカバーするっていう。さすがBOSS(THE MC)さんやな、って思うし。オレもそういう意味合いをカバーするつもりで(歌詞は)書きましたね。「日曜日よりの使者」というものがあり、それに対して自分の立ち位置から、っていう。

――また、作品の幕開けとなる妖艶で立体的なノリを持つ「ヘルレイザー」も強烈なインパクトを感じました。ホラー映画『ヘル·レイザー』からインスパイアされた、「究極の快楽を体験したい=ライヴがしたい」という、まさしく今の気持ちをぶちまけた曲ですね。

R-指定:なかなかね、ヒップホップアーティストの作品の1曲目で「今からライブが始まるぜ!」とか「オレのショーが始まったぜ!」みたいな書き出しは多いと思うんですけど、「ライブしたいぜ!」というのは珍しいというか(笑)。

DJ松永:なめた若手みたいな(笑)。

R-指定:「オレ、早くライブしたいんすよ」って(笑)。

DJ松永:そう思ってるヤツはもうしてるんだよ、っていう(笑)。

R-指定:でも、不思議なことに今の状況やと「ホンマにそうやな」って感じてもらえるんじゃないかと。この状況やなかったら、出てこなかったキーワードですね。ホンマにこれは、リリースするころには(通常の)ライブができるようになってて、この曲を披露したときは歌詞がオレらとお客さんとの間でハマる予定やったんですけど、今のところ、その実現が……。

DJ松永:ホントだよね。

R-指定:アゲアゲの曲を書いたつもりやったのに、切ない曲になってて(笑)。

――やはり、Creepy Nutsにとってライブは欠かせない存在ですか?

DJ松永:もちろん、もちろん。それは実感しましたね。

R-指定:より実感したな。

DJ松永:当たり前にあるもので「これがなきゃ生きていけない」とかちゃんと自覚したつもりはなかったけど、実際になくなってみると、そうだったんだなと気づきました。

R-指定:ライブに関して、オレは戦いというか、ここでぶちかまさんことには、っていう認識やったんですけど、自粛するようになって、なくてはならない水や空気のようなものと感じましたね。

DJ松永:オレら、ありがたいことに(自粛期間中も)お客さんに顔を見せる機会はたくさんあったんですよね。メディアに出ることも仕事の中で大きな割合を占めてたんで。でも、そういうのってラジオやテレビとかの媒体を通してだったりするじゃないですか。個人的なことで言えば、それも楽しいし、視線に晒されることは快感だけど、思った以上に疲弊してることにも気付いて。だから、ステージに立ち、ナルシズムみたいなものを昇華して、自分に自身を持つことでトントンにしてたんだなと。ライブだけがなくなったとき、ちょっとバランスが取れなくなったというか。生命活動にとって、(ライブが)大事なものだったんだなとそこで気づいたんですよ。

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