現在の2.5次元ブームの火付け役的存在でもあり、当ジャンルを牽引し続ける鈴木拡樹が新たに挑戦するのは、大人の恋愛をモチーフにしたオリジナルの舞台。「時子さんのトキ」は、高橋由美子演じる時子が、路上で歌っていた翔真と出会い、恋に落ちる物語です。しかし翔真には、時子に見せていない顔があって…。今回、翔真という難しい役に挑む鈴木に心境、そして現状のエンターテイメントに対する思いを聞いた。
——「時子さんのトキ」、最初に脚本を読んだときの感想を教えてください。
現状としましては(8月末)、台本の制作が後半にさしかかっているところなので、プロットを見た時点でのお話をさせてもらいますと、僕自身は男女の恋愛を描く作品に出演したことがごく少ないというか、ほぼないに等しかったんです。
この作品のプロットは、時子と翔真という男女が、本人同士だけは必要としてしまう、ある意味依存してしまっている愛の形を描いていたので、「こんなに難しくて、いろいろと考えさせられるような題材に出演できることは、チャンスだな」と感じました。純愛系の作品にあまり出ていない自分ですが、端から見たら「ちょっと信じられない」と思われるような愛の形を描けることを楽しみに、参戦しました。
——脚本を途中まで読ませていただきましたが、鈴木さん演じる翔真がなかなかにクズだな、という状況でして(笑)。
さらに進むともう一段階、クズさが見えてくるかもしれません(笑)。僕も先日、作・演出の田村(孝裕)さんから、「こういう展開になっていくと思う」と構想を伺ったのですが、最後のドタバタがかなりおもしろくなりそうです。
——鈴木さんから見た翔真とは?
自分が演じている人物だからこそとは思いますが、擁護してあげたい部分もあるんですよね。世間的に見てダメな人間だということは理解しているんですけど、時子さんに対して甘えてしまうというか、彼女からの大きな支えを感じる瞬間があります。その分、「あ、翔真は頼っちゃったんだ、そっちにいっちゃったんだな」と、わかる気がしますね。
——翔真はアーティストを目指しているものの、現実はうまくいっていません。鈴木さん自身、役者としてなかなかうまくいかない時期はありましたか?
僕は基本的に器用なタイプじゃないので、何をやってもそう簡単にうまくはいきません。そこを自覚していることが、ひとつの武器になっている気がします。不器用だからこそ、時間をかけてどうにかしようと思っているので、そこで折れないことはすごく大事だと思っています。
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