——今回はかなり大人っぽい舞台ですが、鈴木さんが多く出演していらっしゃる2.5次元系舞台と、演じる上で心構えに違いはありますか?
心構え自体は、そんなに違いはないです。ただ「翔真ってどんな人ですか?」と聞かれて、現時点で答えられないことが、最も大きな差異なのかなと思います。
2.5次元系の作品は、僕が演じる役がどんな人かを、お客さんは舞台を見る前から答えられるんです。一方で本作のようなオリジナル作品は、ゼロから見ていただく楽しさを味わっていただけると思います。
創る側としても、同じ条件です。オリジナル作品は資料が多く存在するわけじゃなく、ゼロから創ることができるので、答えの幅が広いところがいちばん違う点ですかね。
——現状は、エンターテイメント業界も様変わりしています。今、エンターテイメントを通じて届けたいことは?
僕が惹かれた舞台の世界は、すごくパワフルで楽しい空間…実際は目の前で行われているのですが、まるで包み込まれているように感じました。この感覚は劇場じゃないと、フルで活かした状態で感じ取ることができないんですよ。だからこそ劇場で見ていただきたい気持ちはもちろんありますが、今のご時世だとそれを勧めることがとても難しい時期です。観劇される方は無理をせず、体調が悪い方はご来場をお控えいただきますようお願いいたします、とお伝えしたいです。
「今回は体調が悪いから諦めるけど、どうしても見たいです!」という声が届いたら、また見ていただける可能性もあるかもしれないので。今は出演者・スタッフ・お客様の全員がきっちりと感染対策に意識を向けることによって、演劇というもの自体が嫌われないよう、守っていけると思うんです。演劇が好きであればあるほど、みんなで見られる環境を守って、観劇を楽しんでいただきたいです。
——「お芝居を見る幸せ」を改めて感じることができただけに、その幸せを壊さないよう、観客の意識も高まっていると思います。生で鈴木さんのお芝居を見ることを楽しみにしているファンの方々へ、メッセージをお願いします。
久しぶりにお稽古をして、「やっぱり演劇は楽しいな」と実感しています。そういう気持ちも作品に乗っかるのではないかと思いますので、一緒に楽しんでいただける方には本当に感謝します。まずは健康な状態で見終えて帰っていただけることが何よりですから、カーテンコールのお見送りまでしっかり務めます。
取材・文=篠崎美緒
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