――台本を読んだ感想はいかがでしたか。公演が「雨下の章」「日和の章」に分かれているのも気になります。
鞘師里保:末満さんからお聞きしたんですが、「雨下の章」「日和の章」というのは、実はあとから付けられた題名なんです。脚本が出来上がったとき、一方には雨が降っているお話が多く、一方にはハートウォーミングなお話がそろっていて、そこからインスピレーションを受けて、「雨下の章」「日和の章」と名付けたそうです。実際に台本を読んだら、「なるほど、なるほど」と思うシーンばかりだし、文章が作る想像力ってすごいなと思いました。
――「TRUMP」シリーズは多くのファンを持つ作品です。今回の物語の印象はどうでしたか?
鞘師:切ないです。すごく切ないな…って。たくさんの人と出会って、リリーが幸せな気持ちになれる、人とのつながりをありがたく思いながらも、その人たちは先に死んでいってしまうんですよね。リリーとしてそういう現実を目の当たりにしてしまうと、胸が締め付けられてしまうんです。歩み寄りたいけど、それをすると不幸になることが分かっているからそれはできない。幸せなことでも、今のリリーには受け入れられない現実でもあって、そういう心情がお話の節々から読み取れるのが本当に切なかったです。
――今回は短編集という形ですね。末満さんのほかに、6人の作家がそれぞれ脚本を書かれています。
鞘師:一話一話、作家さんによって脚本のタッチは全く違うのですが、それが集まって「黒世界」という一つの本になっているのがすごく不思議な感覚です。口調や表現も全然違うバラエティーに富んだ脚本が集まっているので、それをリリーとして、一貫性を持たせながらも演じ分けていかなければと思っています。稽古までに自分の中でも固めていきたいなと思います。
――今は自宅での自主練期間(取材時)ということですが、調子はいかがですか?
鞘師:「ああ…、舞台ってこんな感じだったな」って、思い出しつつやっている部分があって、セリフを覚えるとか、そういうのが懐かしい感覚です。大変な作業ではありますが、思い出と重なって、今とても楽しいです。
――「LILIUM」の映像を見返したりは?
鞘師:そこはもちろん。過去の映像を見て、「リリーってこういう子だったな、こういう役だったな」って、自分の認識とずれがないかを照らし合わせながら練習しているところです。
――ちなみに朗読劇というと台本を持たれて行う場合もありますが、今回はどうされるのですか?
鞘師:私は(台本を)外すつもりで頑張っています。
――台本を拝見させていただきましたが、けっこうなセリフ量ですよ?
鞘師:二冊分ですから、すごいですよね。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)