鞘師里保、レールは無限に。本格復帰の先にある贅沢な悩み<インタビュー>

2020/09/01 11:00 配信

芸能一般 インタビュー

ミュージカル界を超えた各界の共演者との化学反応が楽しみ


――音楽朗読劇ということで、鞘師さんの歌も大きな楽しみです。音楽は「LILIUM」と同じく和田俊輔さんが手掛けますが、和田さんの音楽は独特なリズムや歌い回しが入りますよね。デモを聴いてどうでしたか?

鞘師里保:今回も面白い曲がたくさんそろっていて、リリーの歌だけでなく、お話ごとにそれぞれのキャラクターのいろいろな歌が用意されています。物語を表現しながらメロディーでも印象付けられていくのがすごいんです。今は一人での自主練ですけど、これを共演者の方々と一緒に歌ったらどうなるんだろうって。

共演者の方はミュージカルだけでなく、松岡充さんのように歌手の方、朴ロ美(※「ロ」の正式表記は王偏に路)さんのように声優の方など、各界で活躍されている方々も多くいらっしゃって、これがぎゅっと集まったときにどういう化学反応を起こすのか。それが楽しみで仕方ないんです。

――共演者でいうと、「ステーシーズ 少女再殺歌劇」(2012年)、「LILIUM」で歌唱指導をされていた新良エツ子さんが今回は出演キャストに。

鞘師:そうなんです。私も知ったとき、ちょっと驚きました。ミュージカルの歌唱をしっかり指導してくださったのが新良さんで、家でデモを聴きながら、「あのときこう言われたな」「こうだったよな」って振り返りながら練習しています。

――実は以前、新良さんにインタビューさせていただいたことがあり、そのときに鞘師さんの話題も出たんですね。当時はまだ高音域が苦手で、リズムもポップスのクセが抜けずに苦戦していたというお話でした。今そこはどうですか?

鞘師:今は自分なりに歌唱の違いは理解して使い分けているつもりですし、高音域は改善できていると思います。歌稽古のときには今の自分をしっかり見せて、「鞘師、成長したね」と言ってもらえるように頑張りたいですね。

切ない物語だが、リリーの巻き込まれ感は楽しく見られるところと語る撮影・鈴木康道 / ヘアメイク・太田年哉(maroonbrand) / 衣装協力・DIANA / スタイリスト・寒河江健(Emina)


――それでは「黒世界」を観劇するうえで、こんなところに注目してほしいというポイントがあれば教えてください。

鞘師:いろいろあるんですけど…。どう簡潔に表せばいいのか、う~ん…。

――上演前だから難しいですよね。見てのお楽しみにしましょうか?

鞘師:いや、言いたいです! そうですね…。たくさんの人たちとリリーが出会い、時を過ごすからこそ、リリーはいまだ不老不死の状態から抜けられていない、抜けられないんだという彼女の異質さが浮き彫りになるお話だと思っていますが、出会いの中でトラブルに巻き込まれ、困惑するリリーの状況というのも一方でとても面白いところなんです。リリーの巻き込まれ感というのかな? そういうのはすごく楽しいし、周りの登場人物も面白い人たちばかりです。短編ごとに変わる物語のカラーは、朗読劇ならではの引き込まれるポイントだと思います。

――時間軸的に「黒世界」以前の話である「TRUMP」「LILIUM」を見ていると、より面白くなるでしょうね。

鞘師:そうなんです! 単体で見て面白いのはもちろんなんですけど、その二つを見ていると物語への入り方が全然変わりますよね。シリーズ間で聞き覚えのある名前や単語が出てくることもあるので、まだの方はぜひ見ていただきたいです。