松尾太陽1stミニアルバム『うたうたい』リリース!「ソロ活動でも、もちろん超特急でも、いろいろできたらいいなと思っています」

2020/09/01 17:00 配信

音楽

【写真を見る】音楽への想いを真摯に話してくれた松尾太陽撮影=山田大輔


今回の作品は昭和、平成、令和と、世代や時代を飛び越えた1枚になっています


――全6曲の収録曲の中で、「掌」という曲は太陽くんが作詞を手掛けています。この曲はどんな想いで誕生したんですか?

松尾:昨年の“Utautai”で披露した「peace YOU」を、曲はそのままに歌詞を書き直しました。というのも、自粛期間を通して自分と向き合う時間があったので。それで何か、こういう状況だからこそ、誰かのためになるような楽曲にしたいなと思ったんです。内容は全て自分の実体験ですけど、きっとみんな、今みたいな状況もだし、何か新しいことを始めるタイミングで、これからどうなるんだろうという不安な気持ちがあると思うんです。

――全て実体験というと、冒頭の<夜行バスの窓から いつも見ている景色>というのも太陽くんが経験したことなんですか?

松尾:そうです。僕、高校生のときに毎週夜行バスに乗って大阪と東京を行き来してたんですよ。金曜日の夜に乗って、土日で超特急のリハーサルやフリーライブをやって、また日曜日の夜行バスで大阪に帰るっていう。自粛期間中、子供の頃の写真を見る機会があって、それを見ていたら夜行バスの窓から見た景色……と言っても真っ暗なんですけど(笑)、そういうのまでいろいろ思い出したんです。

――そうだったんですね。この曲では、普段は前向きな太陽くんが、<消えそうな夢も 届かない光も 僕にはきっとまだ 早過ぎたのかな…>と、ちょっと弱気な一面を見せているのも印象的でした。

松尾:僕も今回の自粛中はずっと一人で家にいて寂しかったですもん。だから、豆苗を育てたりして(笑)。でも、どんなときも1人じゃないよ、太陽はいつも見守ってくれているよって、僕の名前でもある“太陽”をダブルミーニングにしたりして、今の気持ちを表現してみました。

――自粛中の想いが自然と歌詞になっていった、と。

松尾:はい。この曲は家で1人、テレビもつけず、音楽もかけずに、しーんとした状態で書きました。その方が余計な情報が入らなくていいんです。その前に見たり聴いたりするのはいいんですけど、やろうと思ったときは全てをパッと消します。そうすると、今の自分に応じたものが書けることが多いんです。

――今作にはさまざまなクリエイターの方も参加していますが、提供曲の中で新鮮に感じたものはありますか?

松尾:She Her Her Hersさんに書いていただいた「libra」は、僕が今まで歌ったことがない曲調だったので新鮮でした。やっぱりバンドの方なので、ドラムの音一つとってもいろんな強弱があるんです。そこに自分がどう歌をのせていくか、聴かせていくかっていうのはすごく勉強になりました。それに、この曲はデモと一緒にメンバーの方からメッセージもいただいたんです。“libra”って天秤座で、僕の星座でもあるんですけど、メッセージにはそういう曲に込めた想いだったり、“松尾太陽さんにとってこの曲が大きな一歩になりますように”みたいなことが、この部分も歌詞なんじゃないか!?というくらい、たくさん書かれていて。そういうことをしていただいたのも初めてだったので、すごくうれしかったですし、より一層いいものにしなくちゃいけないと強く思いました。それから、大塚 愛さんの「mellow.P」も、ポップな曲調なのに対して、ちょっと考えさせられるような歌詞のギャップが素敵だなって。大塚さんとも正式なレコーディングの前にやりとりさせていただく機会があって、そのときに、この曲はメロウな感じで歌ってほしいとアドバイスしていただきました。僕はもともとリズムが前のめりになる癖があるんですけど、今回、大塚さんの言葉や楽曲があったからこそ、新しい表現の仕方に気付けたかなって思います。

――また、今作でリード曲となっている「Sorrow」は、現役大学生でもある注目のマルチアーティスト、Vaundyさんの楽曲です。Vaundyさんとご一緒されてた感想は?

松尾:たしかこの曲を提供してくださったとき、Vaundyさんは20歳くらいで、本当に令和のミュージシャンって感じというか。なので、今回のテーマである“City Pops”との化学反応はすごく大きいと思います。何より僕自身、年下の方に楽曲を提供していただくのも初めてで、時代はここまできたか!と思いました(笑)。そういうのが刺激にもなりましたし、一方で、ほぼ同世代だからこそ20代の僕らに響く言葉たちが多くて共感する部分がたくさんありました。だから、何か不思議な気持ちなんです。平成生まれのVaundyさんの曲を、平成生まれの僕が、令和に歌うっていう。それでいて、例えば堂島孝平さんと浅田信一さんが提供してくださった「The Brand New Way」という曲は、僕が好きな昔ながらのCity Pops調でもあるから、今回の作品では昭和、平成、令和と、いろんな世代や時代を飛び越えた1枚になっているのが面白いなって。しかも、どの曲も上質なテイストに仕上がっているので、個人的には1曲1曲手袋をつけて触りたいくらいです(笑)。

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