脚本家・野木亜紀子を直撃!「MIU404」の物語ができるまで<「MIU404」インタビュー前編>

2020/09/03 20:36 配信

ドラマ インタビュー

第2話に登場した松下洸平(C)TBS


自分なりのモチベーションが必要だった


――この刑事ドラマは新井順子Pが発案し、野木さんは最初、そこまで乗り気ではなかったとも聞きましたが…。

このジャンルは既にやりつくされていますから…。今回、新井Pから機捜を舞台にした刑事ドラマというお題をもらったわけですが、脚本家は物語の中身を作らなきゃいけないので、ドラマの根幹になるもの、本作で何を描いていくのかという自分なりのモチベーションが必要でした。だから、ルーブ・ゴールドバーグ・マシン(ピタゴラ装置)の視点を見いだせたときはホッとしました。第3話で志摩が話していますが、人は生まれ持った環境や、誰と出会うか出会わないか、あるいは何かしらのタイミングといったいくつものスイッチによって、たどる道を否応なく左右されてしまうという視点です。

――ピタゴラ装置の例えのとおり、伊吹と志摩の出会い、彼らと犯罪者の出会いをひとつずつ丁寧に描いていました。

今回の企画以前から、殺人事件の記録を読んだり、新聞記者の人から話を聴く中で、誰かが殺人を犯すときというのは、本当にいくつものタイミングが重なって、どこかで止められたはずなのにそうならず、わずかな確率で実行されてしまうのだということを聞きました。それと、元機捜隊員の方が言っていた「犯罪者と俺達はなんにも変わりませんよ」というのが印象深くて。それらが第2話での上司を殺した青年(松下洸平)の話になったし、第3話の高校生たちがいくつもの分岐点を経て道を踏み外してしまうさまになりました。

――犯罪者にもそうなった経緯と不運があるということが描かれていますが、久住にもそんな背景はありますか?

彼の背景については明言しないでおきます。最終回をご覧ください。

取材・文=小田慶子

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