――まずは第1弾を振り返って、どのような手ごたえがありましたか?
平野:ここまで華やかなウィッグや衣装の作品が初めてだったので、不安はありました。でもやってみたら、ジャンルやカテゴリの垣根なくみんなで演劇を作れましたね。僕は演劇の魅力はマンパワーにあると思っているのですが、それが濃厚に出つつ、見た目の華やかさともうまくマッチしたと思います。
そういえば、去年秋にカレンダーのイベントをやったとき、高校生のファンの方も来てくれまして! 制服姿だったので「どうしたの!?」と聞いたら、「『文劇』でファンになりました!」って。すごいなと思いました。「文劇」のおかげで、高校生が35歳の俳優のファンになってくれるという(笑)。
――吉谷さんはいかがですか?
吉谷:印象的だったのは、原作の皆さんが盛り上がってくださったことですね。もちろん最終的にはお客さんに喜んでいただくのが目標ですが、原作の方に認めてもらうのも目標ではあるので。
「文劇」は二重、三重に原作があるような作品なんですよね。「文豪とアルケミスト」というゲームがあり、キャラクターのモデルになった文豪たちがいて、その方の実際の作品があり。原作ゲームだけではなく、文学作品などからも要素を抽出できたのが大きいです。
――第1弾のバックステージ映像では、キャストの皆さんが言動の細かいニュアンスを議論しながら作り上げていく場面が印象的でした。
平野:第1弾では初めましての若手も多く、僕みたいな先輩俳優がいると意見が言いづらいだろうなと思ったんですよね。「絶対ここやりづらいだろうな」というところも、何も言わず頑張ってくれちゃっていた印象もあって。
「文劇」は文豪をポップに描いていますが、それでも「作品が世の中に受け入れられるか」「次の作品を生み出せるのか」といった苦悩をきちんと表現しないと、あまり良くない意味で「ああ、2.5次元ね」と言われてしまいかねない。そうしたくはなかったんです。もちろん演劇自体は“嘘”なのですが、持つべき感情には嘘をつかないでいたいと思っていました。
なので、舞台「文豪とアルケミスト」の世界における感情のリアリティーをキャスト全員で同じラインにするために、話し合うことは多かったですね。とはいえ、太宰自身は浮き沈みが激しく、どちらかといえば感情のリアリティーが難しいキャラクターなんですが(笑)。
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