毎週土曜夜7:00より、BS12 トゥエルビにて放送中の「土曜洋画劇場」。9月5日(土)は、フランスの巨匠、リュック・ベッソン監督の原点とも言えるダイビング映画の傑作『グラン・ブルー グレート・ブルー完全版』を放送する。
本作は、フランス国内で観客動員1000万人超え、パリで187週連続上映という記録を打ち立てた名作。たった一度の呼吸でどれだけ潜れるかを競う“フリーダイビング”の世界記録を目指した男たちの友情と、彼らに魅せられた女性の愛を描く。
1988年、フリーダイビングの世界チャンピオンであるイタリア人・エンゾ(ジャン・レノ)は、幼なじみのフランス人・ジャック(ジャン・マルク・バール)の行方を捜していた。
二人は少年時代、ともにギリシャの海辺の町で暮らしており、エンゾは2歳年下のジャックの潜りの才能を認めていたのだった。20数年ぶりにジャックを見つけたエンゾは、彼をシチリア島で開かれるダイビングの大会へ誘い…。
本作の主人公であるジャックのモデルは、イルカと人間の共存を訴え日本にも縁が深いフリーダイバー、ジャック・マイヨール。自伝を基にした本作の公開を機に、それまで知る人ぞ知る存在だった彼は一躍世界的な脚光を浴びることになった。
そんなジャックのライバルであるエンゾも実在していたが、ジャックが初めて恋に落ちるアメリカ人女性・ジョアンナ(ロザンナ・アークエット)は架空の人物であり、劇中の出来事はほぼフィクションとなっている。
本作の見どころは、何と言ってもダイビングのシーン。一面に広がる青と、果てしない静寂が支配する深海の美しさは幻想的だが、同時にその厳しさも描かれていく。また、随所で登場するイルカの愛らしい姿も必見だ。
実際のジャックとエンゾはまったく異なるキャラクターだそうだが、レノはマッチョだがマザコンのエンゾを好演し、本作の明るい部分を一手に担っている。本作の後、彼はベッソン監督とのタッグで『ニキータ』や『レオン』といったヒット作を連発することに。
そして、アークエットも「人間よりも魚に近い男」に恋してしまった女性の愛と悲しみを見事に表現。さまざまな解釈の余地を残すラストシーンと共に、彼女の存在が映画に大きな深みをもたらした。
例年以上に短く、暑い日が続いた2020年の夏。例年とは異なり気軽に海水浴を楽しむことはできなかったが、そんな夏の締めくくりに本作を楽しんでみるもまた一興だ。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)