薬剤師ドラマ「アンサング・シンデレラ」を支える“名脇役女優”の存在

2020/09/17 12:30 配信

ドラマ コラム

薬剤師ドラマ「アンサング・シンデレラ」(C)フジテレビ


石原さとみ主演のドラマ、木曜劇場「アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋」。同枠では「グッド・ドクター」以来2年ぶりの視聴率二桁発進、初回の見逃し配信でもフジテレビ歴代1位となるなど好スタートを切った。その後視聴率としては大きく伸びることができていない本作だが、主人公の脇を固める女優、ゲスト出演の女優たちの熱演に「かっこいい」「演技力にぞくっとした」といった声が集まっている。

ストーリーを支える“名脇役女優”たち


病院内にある薬剤部で、主に患者の薬の調剤、製剤を行う“病院薬剤師”たちの知られざる舞台裏を描いた荒井ママレの漫画が原作。 “アンサング”とは「褒められない」という意味。病院薬剤師たちは、“縁の下の力持ち(=アンサングヒーロー)”として患者のために奮闘する、その女性薬剤師がヒロイン(=シンデレラ)の作品だ。

日本の連続ドラマ史上初めて病院薬剤師にスポットが当てられるということでも放送前から話題になっていた本作。主演の石原、田中圭や成田凌らイケメン俳優、新人役には「あなたの番です」で怪演を見せた西野七瀬、薬剤部部長役には毎年「理想の上司」ランキングに名を連ねる真矢ミキといった注目を集めやすい俳優が名を連ねており盤石の布陣だったのではないだろうか。

放送が進んでいくとリアリティーの有無や主人公の言動などについて視聴者には賛否両論の意見が上がっていた中、本作のストーリーを支えていた“名脇役女優”たちに心を動かされる場面が多くあった。医療ドラマのように劇的にドラマティックなストーリー展開や手術シーンがない分、心情の機微を捉えたキャラクターの魅力が軸となっていたと言える。

主人公の背中を押す“ツンツン”上司


【写真を見る】“ツンツン”な薬剤部主任役を好演した桜井ユキ第8話より (C)フジテレビ


その筆頭に挙げたいのは、薬剤部主任役の桜井ユキ。「だから私は推しました」(2019年7月期、NHK)では地下アイドルの“女ヲタ”役で主演、「G線上のあなたと私」(2019年10月期、TBS系)ではバイオリン教室の講師を熱演した桜井は、今作では効率的に仕事をこなすクールさで少し怖い印象もある役どころ。

そんな彼女は、同僚に「むだに熱い」などズバッと言うが、無茶をしがちな主人公の背中をぶっきらぼうに押す静かな熱さを持ち、さりげなくガッツポーズ…その冷たさと熱さのギャップに惹きつけられる。

自身の役柄について撮影前に、「撮影が始まれば自然に仕上がっていくと思っているので、現時点で“こうしよう、ああしよう”とは考えていません。ただ、原作と台本で描かれている刈谷の仕事に対する一本筋の通った姿勢は自分の中で意識して演じていこうと思います」と語っていたが、実際桜井は過去作も含め芯のある役で魅了する目力があるのだ。

そしてクランクアップ時には「刈谷はツンツンしたキャラクターだったので、劇中ではほとんど笑うことがなかったのですが…(笑)」というコメントも残していたクールキャラ。石原や七瀬が患者と真摯に向き合うキャラクターでいわゆる“良い人”な役回りになった分、その脇にいる桜井の“ツンツン”でごくまれに“デレ”が出るキャラクターの魅力が際立ったという面もあった。