――今回演じるにあたって、どういうところが一番難しかったですか?
母親になる気持ちが難しかったというか。いろんな役作りがあるとすれば、母になるという役作りは今までやったことなかったですし。母性というか、そこらへんですかね。
――それはやりながら変わっていったんですか? それとも最初から計算して?
やりながらですね。現場で、こういう感じかなと。理屈で考えてできるようなことではないので。一果の目を見て、いとしくなってきたので、そういう感じですかね。
――先日、香取慎吾さんに取材させていただいたとき「三谷幸喜さんが今までと違う新しい面を引き出してくれた」とおっしゃっていたんですけど、今回内田監督とご一緒して、自分の中で引き出されたものはありましたか?
この脚本に出合えたときから、新しい世界が僕の中で広がっていて。読んだときに涙があふれてきて、なんかどういう感情なのかな、みたいな。これも新しい感情だなと思えたり。実際撮影してて、母性とか考えたりしました。自分の母親の母性って、どういう母性だったのかなとか。今までももちろん家族とか大切なことはわかってるんだけど、より身近にある愛情とか家族とか、人に対して感謝しないとなとは思ったかな。この作品を通して。
――草彅さんの中に母性はありましたか?
一果を見ているといとしく思えたので、あるんだと思う。父親役というのは何度かやっていて、(子供を)いとしく思ったり、守ってあげたいっていうのは同じなのかもしれない。でも母の方がより深いのかな。今度の撮影で、うちの母ちゃんのことは考えたりしたけど、父ちゃんのことは一回も考えなかった(笑)。やっぱり、母って何かあるんですかね。父親とは違う愛情というか、対称的な気もしますよね。それこそ父親は背中を見て育つじゃないけど、背中を向けて包みこむような。母は真正面でこっちに向かせて愛情を注ぐ。撮影を終えて、そんな気持ちにはなりました。
――作品をご覧になった方は絶賛されていますね。特に今回共演した水川あさみさんや、真飛聖さん、前回の映画「台風家族」(2019年)で妹役を演じたMEGUMIさんら草彅さんと近い女優さんがSNSで呟いてました。
ああ、それはうれしい。ほめられると何でもうれしいからね。たしかに女性を演じることで、女性がどう思うか。女性の方が厳しい目で見ているというのはあるのかもしれないけど、やってるときは何も考えてないです。男性目線とか女性目線とか。(稲垣)吾郎さんもすごくほめてくれました。
――水川さん演じる育児放棄をした一果の母親、真飛さん演じる一果のバレエの先生、そして凪沙と、ある意味、3人の母親の物語とも言えそうですね。
ああ、そうかもしれないですね。今回「37歳で医者になった僕~研修医純情物語」(2012年、フジテレビ系)で共演したあさみちゃんと真飛さんが出ている作品ってところが、僕の中ではポイントなんですよね。8年経つんですよ。あさみちゃんは今、37歳で「あのころの剛さんの歳になりました!」と言っていて。本当にいい形でまた集まれてうれしかったです。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)