そしてもう一つ、ENHYPENのスタートダッシュを語る上で欠かせないのが、本人たちも含めた23人の“アイランダー”の存在だ。
23人のデビュー候補生が参加してスタートした「I-LAND」。実際には、超ハイテク施設“I-LAND”に入場を許された12人のアイランダーと、“グラウンド”という練習室で入れ替えを狙うグラウンダーに分かれたが、ここでは全員をアイランダーと呼ぶことにしたい。
特に“パート1”は、アイランダー同士の結束を強める仕組みが散りばめられた。
一緒に生活し、寝食を共にして1日中練習に明け暮れる。ダンスや歌を指導する常駐トレーナーはおらず、渡された音源とダンス動画を手掛かりにアイランダー同士が教え合い、スキルを磨いていく。課題曲のパフォーマンスが終われば、自分たちで投票を行い、アイランダーとしてふさわしいメンバーかどうか、厳しい目で判断する。
すべてを自分たちだけで行うことで、アイランダー同士の結束はおそらく、ずっと見てきた視聴者ですら想像できないほどに固いものになったはずだ。
“パート2”に入る段階で11人が脱落し、アイランダーは12人に。4回のテストで一人ずつ脱落していくという過酷な状況の中、アイランダーたちは“パート1”と変わらず助け合い、高め合って課題に取り組んだ。
こうした経緯で誕生したのがENHYPEN。最終的にデビューしたのは7人だが、彼らがプロフェッショナルとしてデビューできるレベルまでスキルアップしたのは、彼ら16人との切磋琢磨の結果だ。
生放送の最終回当日まで共に全力で戦ったケイとダニエルをはじめ、厳しい基準やオーディションをパスして“I-LAND”に集まった精鋭23人。彼ら全員が持てる力を出し切ってぶつかり合った結果、輝くものを見せることができた7人のシンデレラボーイが今回、チャンスをつかんで表舞台に立つことになった。
だが、次々と新星がデビューしてはスターダムに駆け上がっていくK-POPシーンにあって、残りの16人のうち誰がいつキラキラ輝く姿を見せてくれたとしてもおかしくはないのだ。
「I-LAND」最終回では、先に脱落したアイランダーたちがデビュー候補者9人のもとを訪れるサプライズ企画も放送された。
ほがらかに練習所を駆け回る元アイランダーたちに、張りつめた表情で練習していたデビュー候補者もすっかり癒された様子。健康上の理由でリタイアしたキム・ユンウォンは不参加だったが、残りの22人全員が集まって楽しげに軽口をたたき合う様子からは、特別な信頼と居心地の良さが感じられた。
そして生放送の最終回では、初めての課題曲だったシグナルソング「Into the I-LAND」を全員でパフォーマンス。ファンにとっても、思い出深い楽曲を最後に全員のパフォーマンスで見られたことは何よりの贈り物になったに違いない。
がっちりと結束したグローバルファン、そしてともに戦ったアイランダーたちの思いも背負い、デビューに向けて走り出したENHYPEN。これからどんな活躍を見せてくれるのか注目していきたい。(文=酒寄美智子)
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