山田太一オリジナルドラマ、次なるテーマは“生きること”

2011/09/11 17:00 配信

ドラマ

「キルトの家」に出演する三浦貴大、山崎努、松坂慶子、杏(写真左から)

’12年1月に放送予定のNHK土曜ドラマスペシャル「キルトの家」の記者会見が9月10日に行われ、出演者の山崎努、松坂慶子、杏、三浦貴大が出席した。

同作品は、震災後の日本のあり方と庶民の幸せは何かを問う山田太一オリジナルドラマ。都会の“団地”に取り残された孤独な老人たちと、被災地から“団地”に流れてきた若夫婦が本音をぶつけ合いながらもささやかな絆を築いていく姿がユーモア豊かに描かれる。

山崎と脚本家・山田太一の出会いは、「早春スケッチブック」(1983年、フジテレビ系)が初となる。山崎は当時を振り返り、「今回も同じく不器用に生きる男を演じるが、あの時は40代半ばの男で今は老人役。30年あっという間だと感じている」と感慨深そうに語った。同じく松坂も「今はバラ色が好き」(1977年、日本テレビ系)に出演した時の気持ちを思い出し、「あのドラマに出てくる“あさこ”が好きで、次女の名前に“あさ”を入れたほどです。久しぶりに山田さんにお会いしましたが、相変わらず青年みたいな目をしておられました。山田さんの作品は真っすぐで大好きです」とニッコリ。

一方、山田太一作品に初めて出演する杏と三浦。三浦は「脚本を読むのがこんなに楽しかった作品はない」と語り、「撮影が終わってもカバンにそっと忍ばせたいくらいです」と笑顔を浮かべた。今回夫婦役を演じる杏と三浦だが、お互い子供のころから知っている仲だという。そんな2人の様子を山崎は「歩けもしないチビ(杏)がこんなに大きくなっちゃって、感じるものがありますよ。撮影中も2人は犬っころのようにじゃれ合ってる。共演者は心を開くことが大事だと言いますが、2人は始まる前から開きっぱなし(笑)」としみじみとした表情を浮かべた。それを聞いた杏は「努おじちゃまは子供たちって呼んでくれます。おじちゃまは座ったりお茶を飲んだりしているだけで絵になる、本当にかっこいい方です」と山崎を絶賛した。

3月の東日本大震災発生から半年。山崎は「我々が一時の感情に走っていい加減なことを言うべきじゃない。じっくり考えていきたい」と真剣な面持ちでコメント。まだ20代だという杏は「若さって、どんなに頑張っても言葉に重みが出せない…。だけど今回山田さんのお言葉をお借りして、役を通して何かを伝えていけるのが本当に光栄です」と語った。そして最後に松坂と三浦が「このドラマを見ていただいた方たちの心が安らいでくれたらうれしいです」と作品をアピールした。