SF恋愛映画「メカニカル・テレパシー」五十嵐皓子監督&主演・吉田龍一インタビュー「黒沢清監督の『散歩する侵略者』に憧れて」

2020/10/10 12:00 配信

映画 独占

撮影初日に固まった台本で数パターンを撮影


映画「メカニカル・テレパシー」 (C)Akiko Igarashi


――脚本はどう開発していったんですか?

五十嵐「おおまかな骨格は決まっていたんですけれど、場面自体が撮影ギリギリまで決まっていない部分がありました。今までリハーサルで演技して頂いて作ってきたものを見ながら、脚本に落として撮影初日に渡しました」

――劇中のセリフにあった、「小説と映画化された映画とで結末が違う。2つ別々の人間がいる」という考え方も面白かったですが、いつも気になっていたんですか?

五十嵐「はい。原作があって、それが映画化された作品を観た際に、いつも『原作はどうなっているんだろう?』『それをどうやって演出したんだろう?』とその違いを見るのが面白くて、今回そのセリフを入れてみました」

――役者さんによっては、役本人と、心が可視化されたバージョンと、演じ分けなくてはいけなかったですが、どういう演出をしたんですか?

五十嵐「キャラクター作りに関しては、キャストの方で主体的に進めて頂き、心のバージョンも何パターンか作って頂きました。怖いバージョンやもっと極端なバージョンなども演じて頂いた中で、本番でやって頂いたバージョンに決めて行った形です」

初めて映画祭で上映され「かなり緊張した」


――本作は、大阪アジアン映画祭のインディ・フォーラム部門で上映されました。観客の反応はいかがでしたか?

五十嵐「初めての上映でかなり緊張したんですけれど、具体的なエピソードに関してここが良かっただとか、温かい、元気をもらえる感想を頂きました」

――本作で特に注目してもらいたい部分はありますか?

五十嵐「キャストです。これからどんどん活躍していく役者さんたちが出演していますので、その方達の演技をぜひ観て頂きたいと思っています」

――これからご覧になる方へメッセージをお願いします。

五十嵐「大きいセットや設定を使わずに、不思議な気持ちになれるようなSFをどうやって作るかということを考えて今回作りました。その中で、自分の中にある、人を想うとか、誰かを好きになるという気持ちは一体何だろうというのを突き詰めて、新しい感覚に浸れるような映画を目指しました。黒沢清監督の『散歩する侵略者』が、恋愛とSFを掛け合わせたような作品だったので、それに憧れ、SFが好きな方、恋愛い映画をみたい方、いろんな方が楽しめる作品を目指して作りました。ぜひ劇場でご覧ください」