9年前、20歳の時にあの日を迎えました。それからまもなく10年が経つことに、時の流れの早さを感じています。今回、俳優として向き合う機会と御縁を頂きました。当事者と非当事者の絶対に超えられない壁を、それでも超えられないものか、超えられなくともどう寄り添い共に生きてゆけるのか、考え続ける最中でこの作品に巡り合えたような気がします。
心を込めて、あの場所と向き合うと共に、理解しようとする意志と力を信じて、雲の上ではなく、人と人の心と心の間にもしかしたら宿るかもしれない神様を、綾瀬さんと共に、このチームと共に探してきたいと思います。
そして願わくば、物語の力を信じて、この世に数多ある無念の魂に寄り添い、共に笑い、共に怒り、共に涙を流すことが出来るドラマになればなと思います。
ずっと考え続けているけれど、いままで言葉にできなかったことを、たくさんの人たちの力を借りてようやくほんの少し言葉にできた気がします。わかる・わからないの二項対立を乗り越えるために物語はあるのだと信じています。これからも考え続けていくために書きました。どうか東北の人をはじめ、たくさんの人に届きますように。
“こちらの人は感情を深く潜行させている。今も語れない言葉があることを忘れないでほしい”
取材の初期段階で心に突き刺さった言葉でした。それから長い取材期間を経て、今も前か後ろかどちらに進んでいるのかわからない人の背中をさするような優しいドラマを届けたいと思いました。この想いに賛同してくれた脚本家の三浦さんが繊細なセリフを紡ぎ、石巻の方々の協力も得て、ひとつの物語が生まれました。
綾瀬はるかさんや池松壮亮さんをはじめとした想いのある俳優陣を迎え、石巻・東北・世界でかなしみを抱えながらも必死に生きている人の胸に響くようなドラマを丁寧に作っていきたいと思います。
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