――映像化される4作品についてお聞きします。「えっちゃんとあやさん」では女性同士の恋愛を描いていますが、のちの「青い花」などでも同様の題材を描いていますよね。
この作品を描く前までは、男女の恋愛をずっと描いていてふと「別に恋愛の話は男女だけじゃなくてもいいんじゃないか」と思って考え始めたのが女の子同士のお話だったんです。
当時連載していた媒体は本当に「なにを描いてもOK」というスタンスだったので、私自身描いていてすごく楽しく、するすると描けていた作品でしたね。同性同士の恋愛を描くということにマイナーさだったり、マイノリティーさというのを感じたりはしませんでした。
――「澤先生と矢ヶ崎くん」では男性同士、さらに先生と生徒というなかなか難しい関係を描いていますね。
これは澤先生に「ちょっと!」と言いたくなるような作品ですね(笑)。
女性同士の恋愛も男性同士の恋愛もどちらが描きやすいというのはなくて、アイデアを出すまでの難しさはありますが、ネタが決まればどんどんと描きだせるタイプだと思っています。
――「しんちゃんと小夜子」と「みかちゃんとしんちゃん」は続きものの二作品で、こちらもかなりインパクトのある作品ですよね。
子ども同士の二人にちょっと大人の女性が絡んでくる。しかも大人でピンクなお仕事をしているお姉さんという、単純に自分の好きな設定を組み合わせてできたのがこの作品です。
今でもそうなのですが、読み切り漫画などであるキャラクターを登場させて、その作品の中では深く掘り下げなかったけど自分の中でキャラクターに対する“余韻”があると、「その後の展開を描きたい!」という欲求が出てくるんです。
「しんちゃんと小夜子」では小学生同士のみかちゃんとしんちゃんの葛藤を描いて、「じゃあこの子たちが中学生くらいになったらどうなるんだろう」と思って出来たのが「みかちゃんとしんちゃん」という作品です。
私は自分の作品をあまり読み返すほうではないのですが、今回映像化されるということでアニメを見させていただいて「この子たちの人生を中学生までしか描いてなかったのか」と思って「さらにその後の展開も描いてみたい」と思いました。なんだかそのことの繰り返しなんだなと実感しました。
――「青い花」と「淡島百景」などキャラクターの繋がりを感じる作品が多いですよね。
「どうにかなる日々」を描いていたときは漫画というものに対してすごく後ろ向きで、ネガティブになって悩んでいた時期でした。
それが終わったあとに少しずつ少しずつ漫画に対する意欲を取り戻して描いたのが「青い花」だったので、題材も「お嬢様学校に通うキラキラした女の子たち」という自分の中で描いたことのないものにチャレンジした作品でしたね。
いつも見切り発車的に漫画のストーリーを決めていたものを、きっちり描きたいものをはっきりさせてから描こうと思って描いた作品でもあります。
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