映画「Fukushima 50」Blu-ray豪華版収録“リアル50”によるオーディオ・コメンタリー初公開

2020/10/20 18:40 配信

映画

11月6日(金)に発売される映画「Fukushima 50」Blu-ray&DVD(C)2020『Fukushima 50』製作委員会

11月6日(金)に発売される映画「Fukushima 50」のBlu-ray&DVD、そのBlu-ray豪華版に収録される映像特典のなかから、“リアル50”(登場人物のモデルとなった実在の関係者たち)×原作の門田隆将によるオーディオ・コメンタリーの一部が初公開された。

門田隆将のノンフィクション「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」(角川文庫刊)を原作に、若松節朗監督が、東日本大震災発生時、福島第一原子力発電所にとどまり、対応業務に従事した50人の作業員たちを同作は描いている。

収録されたコメンタリーには、リアル50を代表して、佐藤浩市が演じた、福島第一原発1・2号機当直長の伊崎利夫役のモデルとなった伊沢郁夫さんと曳田史郎さん、平田満が演じた、第2班当直長の平山茂役のモデルとなった平野勝昭さん、そして、安田成美が演じた、緊急時対策室総務班の浅野真理役のモデルとなった佐藤眞理さんらが出演、原作者の門田の進行により、映画についての解説が行われた。

原子炉の全電源を失った時


伊沢 中央制御室は真っ暗で、私から本部に情報を伝えられる状況でもなく、本部から善後策が届くのを待つだけ。本部のほうも、こちら発信元の状況がわからず、情報不足に陥っていたのではないかと思う。まずは、原子炉に水を入れることが最善だと思った。

曳田 1・2・3号機の運転は止まっても、冷却機能が失われた。電源喪失の訓練を受けていたが、訓練は復旧が可能で、最終的には設備が守られる想定で行われていた。津波による浸水で、復旧の目途が立たなくなり、後がない状況に陥った。

原子炉建屋への突入


曳田 吉田昌郎所長から人命第一という指示を受けていたので、徒歩で現場に向かい、途中で大きな揺れが起きると引き返すというのをくり返していた。

伊沢 時間が経つにつれ、現場に行く年配の方が増えていき、ふらふらになって戻ってくる様子を見て、現場に行かない申し訳なさでいっぱいになっていた。建屋に行けば無事では済まないことはわかっていたが、ベントには責任者の私が行くと手を挙げた。みなが手を挙げてくれたのには驚いた。

平野 指揮を変わるよう言われたが、伊沢君は中央制御室に残って指揮を続けるほうがよいと思った。放射線量の危険値を知りつつも、運転員たちは現場に行った。第2班からの話では、放射線量が高すぎて、履いている長靴が溶けたと聞いた。

伊沢 作業の成功・失敗よりも、第2班が限界までの被ばく量を浴びながら、無事で帰ってきたことに感謝した。

平野 吉田一弘君(映画では吉岡秀隆が演じている)が応援に駆けつけてくれたが、公私ともに親しくしていた10歳近く若い者を現場に行かせたくなかった。私は現場に行く覚悟を決めていたが、吉田君がどうしても自分が行くと。吉田君が突入してから戻ってくるまで、彼に何かあったらと心配でならなかった。

原子炉建屋の爆発が起きた時


伊沢 1号機建屋の爆発が起きた時、中央制御室では、椅子から転げ落ちた者もいた。20人以上の運転員が中央制御室にいたが、爆発が起きたタイミングで、最小人数だけ残す判断を下した。

曳田 免震棟では、乾いた爆発音が聞こえ、建物が揺れた。

平野 炉に水を入れた直後だったので、初めは水蒸気爆発を疑った。中央制御室の扉が爆風で曲がり閉まらなくなったので、汚染された空気の流入を防ぐのに苦労した。

佐藤 窓際の部屋にいた所、外で雪のように灰が降っていたのを見て、吉田所長に伝えた。

平野 1号機に続き、3号機建屋の爆発が起きた時も中央制御室にいた。3号機の方が被害が大きく、まわりも動揺していた。

改めて本編を見た感想と今の気持ち


伊沢 我々は特別な存在ではなく、生身の人間。ごくふつうの運転員が、それぞれの思いを抱えながら、対応をさせていただきました。

曳田 よしやん(故・吉田所長)からもらった言葉は、最後に登場する手紙のなかで書かれていたとおりです。吉田所長がもし生きていたら、今も仕事を続けていたと思うので、私も仕事を続けていこうと思っています。

平野 運転員として、このような事故が起きるとは微塵も思っていませんでした。廃炉まで安全に進んでいくことを外から見守っていこうと思います。

佐藤 この映画をきっかけに、新たな一歩を踏み出さなければならないと思いました。

門田 映画でここまで現実を描き切ったことに感謝しかない。福島の人達がいかに戦って、日本を救ったか。福島の人達でなければ、この事故を止められなかったと思っています。本日、お集まりいただいたリアル50のみなさまにも感謝しております。

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