もう1曲の新曲「自慢になりたい」は、一転してミドルテンポのセンチメンタルな曲だ。合唱パートがとても効いている。
柳沢「この曲も15年の歩みみたいなものを自分たちでも感じます。もちろん4人の楽しみがSUPER BEAVERを結成した理由で。そこが基点になりながらも、やっぱり4人だけがSUPER BEAVERじゃないって事実がSUPER BEAVERを強くしてくれてるっていう。その気持ちがすごく素直に曲になったなって思います。チームもそうだし、もっと言うと地元の友達とかの顔がこの15年の中で浮かぶようになったし。根源的な部分でSUPER BEAVERっていうバンドがそういう人たちの自慢であったら嬉しいなと素直に思いますね。振り返ると、目標にしていたライブハウスがソールドアウトになった時も、ライブハウスの店長さんも一緒になって喜んでたよなとか。そういう1個1個の嬉しかった思い出の裏には悔しさもあった。でもやっぱり、人とともに喜ぶことはずっと大事にしていきたい。だからこそいろんなことに挑もうとするんだと思います」
2018年に武道館を成功させた出来事は、バンドシーンに広く希望を与えた。
渋谷「そのとき言われて印象的だったのが、『SUPER BEAVERがメジャーから落っこって、インディーズでやっていく中でこういう風に武道館できるって事例を作っちゃうと、もう他のバンドは言い訳できないね』ってことで。確かに、メジャーじゃなきゃダメとか、こういうチームで動いてなきゃダメっていう慣例みたいなものは1個ぶっ壊せた感じはありました。状況や環境のせいにもできないですしね」
そこから約2年弱、再びメジャーへ。
柳沢「リアルタイムな話でいったら、『ハイキュー!!』のオープニングに『突破口』が決まって、久々に地元の友達から連絡が来たりするのも嬉しいですし(笑)。広く知られているものの主題歌を歌うのは、音楽を注視していない人の耳にも自分たちの名前が届くってことで、純粋に嬉しい」
渋谷「以前のようにライブができない状況になって、今まで自分たちはライブで曲の答え合わせしているんだって気付いたんです。CDが何枚売れたとか、SNSのフォロワー数とかじゃ、聴いてくれている人の熱量ははかれないものがある。その人の前に立って、歌って、演奏して、その顔を見て感じられることが9割だったんだなって(笑)。ありがたいことに、いろんなタイアップをつけてもらったり、聴いてもらえる機会は増したけど、早くライブでそれを感じたいです(笑)」
取材・文=小松香里
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)