舞台「あゝ、荒野」が10月29日に初日を迎え、埼玉・彩の国さいたま芸術劇場にて囲み取材が行われ、出演の松本潤、小出恵介、演出の蜷川幸雄が出席した。
同作は、'66年に寺山修司が初めて手掛けた長編小説を戯曲化した舞台。ネオンの荒野“新宿”で二人の男性、新宿新次(松本)とバリカン(小出)がボクシングによって魂を通わせていく姿を描く。新次をボクシング界に導く元ボクサーを勝村、新次の前に現れる奔放な女性・芳子を黒木が演じる。
新宿新次を演じる松本は「60年代が時代背景なので、その時代を生きたことがないので写真や資料だとか、寺山さんの原作をよく読んで、イメージを膨らませました」と話し「せりふの量が多いですね。普段いろんなことをやらせてもらってますけど、高度でレベルの高いことをこの現場で求められていたので、この1カ月間けいこしてきてすごく贅沢な時間でしたし、これからの本番を楽しんでその時間を大切にして過ごしたいです」と思いを語った。記者から「痩せましたね」と聞かれると「絞りましたね~。体重でいうと5キロくらいは絞りました。体脂肪は測っていないですけど、一桁ってことにしておいてください」と役作りについて話した。
一方、バリカン役の小出は「松本君はストイックなんですけど、ぼくは快楽主義者なので我慢できないんです。一緒に食事に行ったときも松本君は油物を一切取らないけど、僕はやっぱりおいしいものに目がいってしまって『きょうくらいいいだろう』って言って食べちゃいます」と明かした。
二人の試合のシーンについて松本は「信用してやるしかないので、けがすることもあるかもしれないですけど、そこはもう信頼関係でやっています」と話し、小出は「かなり容赦ないですよ。実際に殴るんですけど、ローブローに当たったときはもん絶しました」と返答。また、松本も小出に対し「僕もやられてますよ。一応、殴る段取りがあるのに段取りと違う手を出してくるんですよ」と反論。
松本と小出の役作りの姿について蜷川は「ボクシングのけいこはよくやっていたし、この二人が偉いのはね、どんなに大変でもめげないんだよ。とても一生懸命やっていて肉体的にも大変だし、せりふの数も多いんですよ。よくやりましたね」と明かした。
蜷川の演出に対して小出は「前一度やらせていただいたときに比べたら厳しいです。前より容赦ないし遠慮がないです。昨日ゲネプロがあったんですけど、ゲネプロの最中にダメ出しされて『え?』って思いましたね。もっと鬱屈しろって。もう難しいんですよ~」と話すと、蜷川は「楽をしようとして手を抜くんだよ。朝ドラみたいにうまくカットしていくんだよ。久しぶりに物を投げようかと思った」と明かすと、「僕、次の朝ドラに出るんですけど」と苦笑いしていた。
最後に、松本は「非常に独特できれいで恐い凶暴な部分もあったりする作品ですが、寺山さんの作品で蜷川さん演出のこの作品を感覚で味わってもらうのが一番いいのではないかと思います。楽しんで見てもらえたら」とメッセージを送った。
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