そっくり!? 三谷幸喜作・演出の舞台で野村萬斎が夏目漱石に挑戦!

2011/11/01 09:00 配信

芸能一般

三谷幸喜作・演出の舞台「ベッジ・パードン」に出演の野村萬斎(写真中央)、深津絵里(写真右)、大泉洋(写真左)(C)谷古宇 正彦

6月6日から7月31日まで東京・世田谷パブリックシアターで上演された、三谷幸喜作・演出による舞台「ベッジ・パードン」が11月3日(木)昼3:00よりWOWOWプライムで放送される。三谷はことし“生誕50周年”を迎え、同作はことしの舞台作品3作目にあたる。

同作は、後の文豪・夏目漱石となる夏目金之助のロンドン留学時代が題材。留学当時の金之助の日記には、下宿先のメード“ベッジ・パードン”の名前が頻繁に登場する。そこから、金之助がベッジに対して、心を開いていたと読み取った三谷は、コメディーとして初めてのラブストーリーを描いた。出演は、主役の金之助役に野村萬斎、ベッジ役に深津絵里。また、金之助と同じ下宿先に住む日本人・畑中惣太郎役に大泉洋、ベッジの弟役に浦井健治、下宿先の主人など11役にも及ぶキャラクターを浅野和之が務める。

物語の舞台は1900年のイギリス・ロンドン。英語研究のために留学に来た金之助は、同じ下宿先に住む畑中が社交的で英語を使いこなす一方、自分の英語が通用しないため、下宿先の主人らに対してふさぎ込む。唯一、金之助が肩の力を抜いて話すことができた人物は、陽気なメードのアニー・ペリン。彼女はなまりが強く、“I beg your pardon?(失礼ですが)” と話す言葉が、“ベッジ・パードン?”と聞こえることから、金之助はアニーに“ベッジ”とあだ名をつけ、次第に心を通わせていく。そんな中、ベッジの弟・グリムズビーが金之助にある計画を持ちかけてくる。

舞台には、金之助が下宿している家のセットが組まれている。野村は、金之助が英語を使うのに奮闘する様子や、惣太郎との掛け合い、またベッジとの会話を楽しむ場面など、コミカルなシーンに数多く挑戦。また、深津が表現するベッジの個性的なキャラクターやかわいらしさも見どころの一つ。さらに、複数の役で登場し、それぞれの独特な役を演じて笑いを誘う浅野にも注目。そして、登場人物の会話の面白さが際立ち、三谷演出を笑って楽しむことができる。

金之助と同様に「ロンドンでの留学経験がある」という野村自身、留学中に多くのカルチャーギャップを体験。「土足の生活に違和感があったので、床の絨毯(じゅうたん)を張り替えたときに、イギリス人も土足禁止にしました」というエピソードが、同作中に採用されている。また、初めての三谷演出については、「今までの自分と違う部分がどう出てくるのか楽しみ」だったという。これまでギリシャ悲劇やシェイクスピアなどの古典劇などに多く出演していた野村にとって、笑いのあるシーンやテンポの違いに戸惑いもあったようだが、「(役作りや演出について)三谷さんと苦労したかいがあって、“ソフトな萬斎“ができあがりました」と”新しい萬斎”を発見したようだ。

また11月1日(火)~3日(木)の3日間、WOWOWプライム、WOWOWライブ、WOWOWシネマでは、「生誕50周年!三谷幸喜の日」と銘打って、三谷作品のドラマ、ステージ、映画を一挙に放送する。中でも、三谷による脚本、またテレビドラマ初監督作となる長編ドラマ「三谷幸喜“short cut”」は、1度もカメラを止めない「完全ワンシーン・ワンカット」で撮影。中井貴一、鈴木京香、梶原善が出演し、斬新な試みに挑む。また、「short cut」の撮影裏側に密着した「三谷幸喜“short cut”ができるまで」や、三谷が出身大学で生徒たちに監督論などの講義を行った「三谷の大学」もオンエア。その他、三谷作品を堪能することができるラインナップが並ぶ。