「火車」上川隆也インタビューPART2「バブルファッションの佐々木希さんを楽しんで!」

2011/11/02 10:00 配信

ドラマ インタビュー

本間刑事を演じる上川隆也は「プレッシャーよりも演じるうれしさの方が強かった」と明かす

(「火車」上川隆也インタビューPART1から続く)

――本間は刑事であり、父親でもありますが“父親役”という面に関して思うところは?

この物語は、ある種“弱っている”本間俊介という男が再生していく過程でもあると思います。例えば息子の智(山崎竜太郎)との関係性で言えば、この事件に巡り合っていなければ、おそらく向き合う機会が先延ばしになったか、あるいは訪れなかったか、そのどちらかだと思うんです。いろいろな人の助けを借りながら、本間が智との関係を少しずつ回復していく過程は、彼が自分自身を確信していく道筋でもあったように思います。そういう意味でも智を演じてくれた山崎くんとのシーンは、実は僕にとってとても大きな意味があったし、楽しかったです。

――碇刑事役の寺脇康文さんとの共演については?

僕にとって寺脇さんは演劇をやっているころからの大先輩ですし、常に仰ぎ見ていた存在でした。今回は、まず最初に寺脇さんが隔たりのない空気を作ってくださったので、とても柔らかい空気感の中で現場に入れました。自由自在にお芝居をすることができたのは、寺脇さんのおかげだと思っています。“長まわし”のお芝居でも何を相談するでもなく「こことここを舞台にしてください」という監督の指示だけをいただいて、あとは1回テストしたらすぐカメラを回すことができました。すぐにシーンを作っていけたのは本当に先輩のおかげですね!

――20代、30代、40代と役者をやられてきて、後輩を引っ張る立場になられましたが、振り返ってみると自分が変わったなという意識ありますか?

あまり自覚はないですねえ。(後輩を)引っ張っているということがむしろ新鮮な言葉として受け止められたぐらいで、けん引力なんて僕にはないでしょうから(笑)

――先輩はもちろんいらっしゃって、上川さんを慕う後輩の方もいらっしゃると思うのですが?

慕う? 僕を?(笑)。いやあ、あまり慕われてはいないと思うんですけどね。むしろ、演技の場においては僕は先輩も後輩も“イーブン”な気がするんですよ。なので、頼られているという実感はないです。もちろん経験という違いはあるんでしょうけど、でも経験だけで何かを語れる職種ではないことも事実だと思うんです。僕自身まだ何者でもない気がしていますし、あまりそういう意識は伴っていないですよ。というより、僕はあまりちゃんとしていないと思います(笑)

――今回の「火車」はスペシャルドラマですが、連続ドラマとの取り組み方の違いはありますか?

得てして連続ドラマの場合は、撮影期間が長いこともありますが、落着ポイントを目視しないまま走り出すんですよ。なのでどちらかと言うとペース配分にこそ気を配るというんですか、何より最後まで走ることが大事になっていくでしょうし、曲がり角の向こうが分からないまま走り出しているので、曲がった先の景色や、道で言うなら勾配にそれぞれ合わせていくという作業になるんですけど、スペシャルドラマや2時間ドラマは落着ポイントまで見えて走り出すので、全体像を描いた上でのスタートになる。逆算が利くという言い方もできますが、その携わり方には間違いなく違いがあると思うんですけど、でも違う部分は逆に言うとそれだけのことで、“演じる”ということにおいては注ぐ熱量は大きく変わらないと思います。

――では、最後にドラマの見どころを教えてください

冒頭からラストシーンまで、まさにサスペンスを楽しんでいただけるドラマです。原作は『このミステリーがすごい!』の20年間の集大成で1位を取っているほどの傑作ミステリー。ミステリーとして、サスペンスとして非常に良くできた一級の物語というのは間違いないのですが、同時に一人の男の挫折と再生の物語だと思います。そして、もう一つ大きな要素があると思っているのですが、それはこの場では言わないでおきます。隠し味みたいなものですので…。ヒロインは佐々木希さんですし、男性視聴者の方にはより楽しんでいただけるかなと思いますね。“バブルファッション”の佐々木さんを楽しんでいただきたいですね!(笑)

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