'02年に山本周五郎賞を受賞した吉田修一氏の小説「パレード」。お互いのことに干渉せず、都内の2LDKマンションでルームシェアをする、良介、琴美、未来、直輝ら4人の元に、突然、サトルという男の子が現れ、一緒に住むことに。さらに、同時期に近所で女性を狙った事件が起こり、4人がそれぞれ抱えていた問題が露呈し始め、流れるように過ぎていた彼らの毎日が少しずつ変わり始めていく――。
'10年に行定勲監督により映画化され、公開から約1年半が経った今、映画や原作とは異なる結末だという舞台「パレード」が、1月16日(月)より、東京・天王洲の銀河劇場でスタートする。映画同様、行定氏が演出を務める他、全キャストを一新したことでも注目の本作に物語の重要な役どころであるサトル役で出演する竹内寿にインタビュー! 稽古の様子や舞台の見どころを語ってもらった。
――まず、台本をもらった時はどのように感じましたか?
純粋に面白かったですし、難しいとも感じました。最初、自分なりにイメージを考えて行きましたが、やってみたら思っていた以上に難しくて。役柄が今まで出演した2作品のようにテンションの高いキャラクターではないので、はしゃぐところ、すごくクールなところ両方あります。そういう部分は、とても勉強になっていますね。どうしても「ああ」とか「そう」というセリフが多いので、会場の大きさと声の大きさのバランスなど、どうやって演じようか考えています。
――演技中、特に気を付けていることはありますか?
セリフが前述したようなものなので、余計に感じることだと思うのですが、訛っていると言われます。関西弁のように具体的に言葉では言えないのですが、僕は長野県出身なので(標準語と)イントネーションが微妙に違うんです。普通の会話なら聞き流してしまいそうな違いですが、今作では、そこが地味に苦戦している部分です(笑)。
――演出の行定さんからアドバイスなどは?
常にもらっています。行定さんは、自分の中で悩んでいたことを解決できるような言葉を言ってくれるので、とても安心してサトルを演じられるというか、「全部任せて、できないことも含め、言われたこと全てやっていれば大丈夫だ!」と思うことができます。(行定氏の)言葉一つで、イメージが自然と浮かんでくるんですよね。一度、僕なりに演じてみてから具体的なアドバイスを頂くことが多いです。
――稽古中の雰囲気はいかがですか?
直輝を演じる福士(誠治)さんがお兄ちゃんのように引っ張ってくれているので、現場は和気あいあいとしています。本当にみんなが仲良くて、特に演技のことを反省会のように話し合うことはないのですが、一人が本読みを始めれば、誰かがセリフを返したりするので、自然とみんなでやっています。
――今回、舞台のストーリーは原作や映画と異なりますよね。どのくらい違うのでしょうか?
物語の前半は映画とセリフが同じ部分がありますが、後半に関しては全く違います。別作品と言ってもいいくらいですし、結末も映画と異なります。そこは行定さんもかなり意識しているみたいですね。ただ、パレードが持つ独特の世界観はとても出ています。
――サトルは今まで演じたキャラクターとは異なると仰っていましたが、今後、演じたい役柄はありますか?
以前はありましたが、最近は特に何をやりたいとか無くなりました。全部の役にヒントがあると思うので、今はとにかくいろいろやっていきたいです。僕が常に意識しているのは、“自分を捨てた演技”というか、よく見せようとか、よく映ろうとか意識したくないんです。「何をしてもいい」くらいの気持ちを持っていきたいです。
――憧れの俳優さんはいらっしゃいますか?
それは本当に決められないです! もちろん香川照之さんとか好きな俳優さんはいますが、もう憧れとか言うのも申し訳ないというか…。学ぶところしかないのに、僕が「香川さん大好きで、憧れです。本当に演技がお上手ですよね!」とか言ったら失礼じゃないですか! もちろんご一緒できたら幸せですけど、今は出演されている作品を見て日々、勉強しています。ただ、「歌舞伎の道に進む」って聞いたときは、「もう共演するチャンスがない!」って焦りましたけど(笑)。
――最後に、意気込みをお願いします。
舞台「パレード」は映画や小説と違う物語です。もちろん、映画を見ていただいている方、舞台で初めてパレードを見て下さる方いると思いますが、それぞれ異なるサトルがいて、舞台では“新しいサトル”だと思って演じています。サトルを含め全キャストが変わっていますし“新しいパレード”を見ることができます。“違う場所で起きていたパレード”というイメージで見ていただければうれしいです。僕自身、高校を卒業して大人として成長していきたいですし、これからいろいろと環境も変わって挑戦することも増えていくと思いますが、頑張っていきますので応援よろしくお願いします。
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