ジャニーズ主演作がランキング上位を占める民放の春ドラマ。終盤に向けそれぞれの物語が盛り上がっていくこの時期、6月11日現在で視聴率第3位(※)に食い込んだのが「リーガル・ハイ」(フジ系)だ。第8話で同ドラマ最高の14.5%(※)を記録し、「オリ★スタ」読者が選ぶ「春ドラマ☆AWARD2012!!」でも作品賞ほか3冠を獲得。当初からドラマファンの間で面白さNo.1と評判だった本作が、ここへ来て猛烈な勢いで快進撃を見せている。
人気の秘密は堺雅人演じる古美門(こみかど)研介のエキセントリックなキャラクター。ドラマウォッチャーとして知られる漫画家のカトリーヌあやこ氏は、「よどみなく繰り出される長ぜりふに、研ぎ澄まされた滑舌&毒舌。ハイテンションにさく裂する嫌味の中で、ごくごくかすかにこぼれる人情味。まさにこのドラマ、堺雅人の独擅場」と絶賛する。
さらにカトリーヌ氏が注目するのは、中盤以降に出てきた古美門の“ヘタレ芸”。確かに、ドラマのスタート当初は高圧的に罵詈(ばり)雑言を浴びせるのを得意としていた古美門が、第5話あたりからそれだけではない“別の顔”を見せるようになっている。
「元妻の顔を見ればおなかがギュルギュルとなり、追い詰められるとガッキー(新垣結衣)演じる黛の胸元を『ばかぁぁぁっ!』とネコパンチし、泣きながらダッシュ。ヒステリックな女に刺されそうになって、黄門さまこと里見浩太朗演じる事務員・服部さんに助けられ、かみしめるように『はっ…とりさん、はっとり…さん、はっとりさん…』と3度つぶやく絶妙な間。もう、うっすらと堺雅人の向こうに、内村光良(ウッチャンナンチャン)の背後霊(?)が見えましたよ。堺雅人って実はウッチャンだったんじゃないかという幻想にさいなまれるくらい、コント的才能が抜群なんです」(カトリーヌ氏)
堺自身も、「どんどんふざけて、どんどんハジけていきたい」「“ヘンテコな芝居”をしたいと思ってる」と先日発売された「『リーガル・ハイ 』公式BOOK―」で語っている通り、回を追うごとに古美門のキャラの“振り幅”は広くなっている。「エキセントリックとヘタレのコントラスト。その落差がでかければでかいほど、きれいなオチが決まる。堺雅人はただ静かに笑っているだけじゃない。もしかして、扇子を持って『巻いていこう!』と言う大御所・大嵐浩太郎や、牛の着ぐるみを着たミル姉さん(共に内村が演じたコントのキャラクター)だってできちゃうかも。堺雅人の限りない懐の深さには感心しきりです」(カトリーヌ氏)
先週放送の第8話では絶縁した父親が登場し、がぜんシリアスな展開に。幼少のころの古美門の“事情”と、初めて見せる悲しい表情に、胸を締め付けられた視聴者も多かったはず。エキセントリック、ヘタレ芸、さらに第3、第4の顔を見せ始めた古美門。残り3話にますます注目だ。
※共にビデオリサーチ関東地区調べ
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