有能な脚本家の発掘と育成、制作現場の活性化を目的として開催されている「第12回テレビ朝日21世紀新人シナリオ大賞」の発表会見が6月19日、都内で行われ、選考委員を務める脚本家の井上由美子氏、岡田惠和氏、両沢和幸氏、そして、大賞受賞者の戸田幸宏さん、優秀賞受賞者の村本篤信さん、金子洋介さんが出席した。また、'11年の大賞受賞作品である若狭大基氏の「花の冠」が、ことしの9月にテレビ朝日でドラマ化されることも合わせて発表された。
ことしで12回目を迎える同賞は、テレビ朝日が優秀な脚本家の発掘・育成、ドラマの強化を目的として'00年7月に創設された。中でも'02年の第2回に大賞を受賞した古沢良太氏は「相棒」シリーズや映画「ALWAYS 三丁目の夕日」、6月26日(火)に最終回を迎えるドラマ「リーガル・ハイ」(フジテレビ系)の脚本も担当し、日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞するなど輝かしい活躍を続けている。今回は1436篇の応募から審査を重ねた結果、戸田さんが“シナリオ大賞”を受賞した。
殺しを仕事として生きてきた男性の“最後の姿”を描いた作品「最後の仕事」で、今回大賞を受賞した戸田さんは「このたびはありがとうございました! 普段仕事はNHKエンタープライズという制作会社でディレクターをしておりまして、ドキュメンタリーや情報番組を作っています。このたび、このような賞をいただいて、これからは持てる力をNHKではなく、全てテレビ朝日さんのために使っていきたいです! 最近知ったことなんですが、太宰治さんと松本清張さんは実は同じ年なんです。太宰さんは38歳で亡くなってしまって、3年後に41歳で松本さんがデビューされたそうです。ちょうど僕は41歳なんですが、例えば脚本家の方で言うと宮藤官九郎さんが同い年で、面識はないんですけど同じ大学なんです。そんなことを考えたりしながら、まだ間に合うというつもりで頑張りたいです」と冷静な分析とともに受賞の喜びを語った。
選考委員を務めた井上氏は「コンクールも12年目ということで、始まった当時は『相棒』も連続ドラマで始まっていませんでしたし、韓流ドラマもそれほど日本に入っていませんでしたし、ずいぶんと時が経ったなあと思っております。ことしも私達を試すような素晴らしい作品が集まりました。一回目の選考でほぼ今回の3人に絞られるほどズバ抜けていました。大賞に選ばれた戸田さんの作品は、エンターテインメントでありながら“老い”ということの悲しみが押し付けがましくなく描かれていました。ちょっと説明的なせりふがあったので、そこを少し刈り込んでシャープにすればすぐにでもオンエアできるんじゃないかなと思うほど素晴らしい作品だと思いました。特に男にとって仕事って何なのか、という裏テーマがすごく利いていて、私個人の意見ではこのコンクールのここ数年の作品では最も好きな作品です」と大絶賛した。
また、9月にドラマ化される'11年のシナリオ大賞受賞作「花の冠」は、連れ子同士の義理の姉弟関係を通し、血のつながりだけでは計ることのできない“家族の絆”と“姉弟の絆”を描いた作品。主演に注目の若手女優・蓮佛美沙子、共演は「家政婦のミタ」('11年、日本テレビ系)で長男を演じてブレークした中川大志、斉藤由貴、眞島秀和、矢柴俊博、飯豊まりえら。フレッシュなキャストが織り成す、切なくも心温まるドラマとなっている。
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