8月3日にDVDがリリースされる韓国ドラマ「千日の約束」。韓国ドラマ界の巨匠キム・スヒョンが脚本し、韓国では放送前から話題を集めた注目作。同ドラマで、若くしてアルツハイマー型認知症にかかった姉・ソヨン(スエ)を支える健気な弟・ムングォンを好演したパク・ユファンが来日。実兄のユチョン(JYJ)とのエピソードも交えつつ、この作品で学んだこと、俳優業への強い思い入れを語ってくれた。
――「千日の約束」は著名脚本家やビッグスターが集結した作品で、プレッシャーや不安もあったのでは?と思いますが、出演が決まった時はどんな気持ちでしたか?
プレッシャーに感じたのは事実ですね。自分はまだまだ未熟なところが多いので、皆さんの足を引っ張らないだろうか? と悩みました。「ベストを尽くすしかない!」と思って臨みましたが、そんな中、本当に皆さんにとてもかわいがっていただけたので、自分もうまく頑張れたかな?と思います。
――キム・レウォンさんやスエさんら、実力派の俳優陣からはどんなことを学びましたか?
素晴らしい先輩たちに囲まれて演技すること自体が、とても勉強になったんですよね。演技すればするほど面白みを感じられましたし、もちろん大変な部分もあったんですが、その分、自分に帰ってくるものがあったな、と感じています。「ああ、自分はまさに俳優になったんだな」と実感することができた作品で、自分のキャリアにとってもすごく大切なものになりました。
――ムングォンの、「僕は弟だよ、一緒に苦しむ!」というセリフが印象的でした。大切な人が大変な目に遇っていたら、ユファンさんもやはり、一緒に苦しもうとされますか?
自分の愛する人、大切な人が大病にかかって痛みを感じている時は、その痛みを共に感じてあげたいと誰もが思うでしょうし、やっぱり僕もそうですね。実際には、身近な人がアルツハイマー病にかかるというのはそうあることではないので、感情を正しくつかむのが最初は難しかったんですね。だから、「ユチョン兄さんが実際にこの病気にかかったら、僕は弟としてはどんな感情になるだろう?」と想像して、自分なりに捉えました。想像するだけでも非常に悲しくなってしまって…。その感情を、姉に対するムングォンの想いとして表現しました。
―― 一番気に入っているシーンはどこですか?
姉の病気を知って、病院に行ってそれを実際に確認するシーンですね。一番大変でもあり、満足もしていて記憶に残っている…そんなシーンになりました。一番悲しい場面でもありました。
――あのシーンにはもらい泣きしてしまいました。
そうですか?(日本語で返答し、にっこりと少し照れ笑い)
――2011年に俳優デビューなさって、早くも大きな成長を遂げられているわけですが、そもそも俳優を志した理由はなんだったんでしょうか?
演技というものを知ったのは、ユチョン兄さんを通してです。兄がドラマ「トキメキ☆成均館スキャンダル」(’10年、KBS2)という作品に出ることになって、その演技の練習をしている姿を見たことがきっかけで、とても引かれるものがありました。一つの役を通して、自分が生涯を通じてもおそらく感じないであろうことを感じることができる、という部分にとても魅力を感じたんです。「自分もやってみたい!」と思ったので、そう言いました。
――ユチョンお兄さんはすぐ、「やってみたら?」と言ってくれたんですか?
ええ、賛成してくれました。僕は、「俳優になりたい」という夢を持つ以前には何の夢もなかったんですね。それ自体が自分にとっては大きなストレスであり、悩みごとでもありました。兄もそれを知っていて、同時に心配もしてくれていました。だから実際に自分が「演技者になってみたい」と言った時は、「やってみるといいよ。もちろん大変だと思うけれども、それだけちゃんと学べることがあるはずだよ」と。「実際に自分で経験してみて、ぶち当たってみるといいと思う」と言ってくれましたね。
――兄弟の強い結びつきを感じるエピソードですね。今回ムングォンを演じきったことによって、ご自身の考え方・人生観が変わった部分はありますか?
この作品を通じて、自分の感性がより敏感になったとも感じていて。例えば、悲しい思いをしている人が周りにいると、それにいち早く気付くことができるようになったと思います。それと、劇中でジヒョン(キム・レウォン)さんとソヨン姉さん(スエ)が深い愛情で結ばれていますけれども、「自分もいつかこんな愛を得ることができるのかな?」と思ったりもしましたね。そういった点でも、僕の感性に響くものがある作品です。
――では最後に、俳優としての目標と、プライベートで挑戦したいことを教えてください。
俳優としては、先輩方にも、視聴者の皆さんにもかわいがられるような存在でありたいです。まだまだ未熟なので、一つ一つ作品を観るにつけて、「あ、この人は少しずつ成長してるな」と感じてもらえるような俳優になりたいですね。今は新しい作品に取り組んでいるんですけれども、まずはそれを成功裡に終えたい、というのが目標です。パク・ユファン個人としては、今、本当に演技にすべてを掛けていて、オールインしている状態で。だから、何か他のものに挑戦したいということはなくて、演技だけで頭がいっぱいなんですよ!
――そんな中、リラックスできる時間はありますか?
撮影期間中だと、リラックスする時間と言いつつも…やっぱり台本を読んでしまいますね(笑)。
(取材・文/大前多恵)
※パク・ユファンのインタビューは、7月24日発売の月刊大人ザテレビジョン9月号にも掲載しています
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