9月8日(土)からNHK総合で放送される日本の礎を築いた吉田茂の活躍を描くドラマ「負けて、勝つ~戦後を創った男・吉田茂~」の記者会見が23日に都内で行われ、出演者の渡辺謙と松雪泰子が登場した。
同作では、戦後の占領期に焦点をしぼり、飢餓状況に陥った敗戦国である日本の再度独立から復興していくまでの過程を描く。昭和20年8月、厚木飛行場にマッカーサー元帥(デビッド・モース)が降り立ち日本占領が始まる。そんな中、外交官出身の元駐英大使・吉田茂(渡辺謙)が外相に就任し、プライドを武器に誰もが恐れた最高実力者マッカーサーと対等に渡り合っていく。
吉田茂を演じる渡辺は「吉田茂という人物についてある程度知識はあると思っていたのですが、どんなふうに総理大臣への道を歩んできたのか、その背景には何があったのか、このドラマに出演したことで学べたことがたくさんあります。今の日本人は大震災を経験しましたが、戦後復興と同じように震災の復興にこのドラマが役に立つのではないかという思いで演じさせていただきました。苦悩の深さと歴史の重みというものに挟まれて大変な撮影ではありましたが、かなり骨太なドラマができたと実感しています」と作品への自信を見せた。一方、吉田茂の身の回りの世話をする小りん役を演じる松雪は「小りんという人物は、吉田茂を支え、彼が亡くなった後も多くを語ることがなかった人物です。昭和という時代の芯(しん)の強い女性をイメージして演じさせていただきました」とコメント。
また、リーダー像について聞かれた渡辺は「吉田茂という人物は自分で決めたことが絶対的に正しいと信じているわけではなくて、常に揺らいで、迷って、悩んで、その中で最終的に決めなければいけないことを決断していくんです。究極的な選択を迫られる時代の中で、ひとつのリーダー像を演じていくのは非常に悩ましくも楽しかったです」と撮影を振り返った。さらに、デビッド・モースとの共演について「デビッドは偏食で食べれる物が少ないのですが、日本のすしが好きということで、撮影が終わった後に一緒にお酒を飲みながらすしを食べに行ったりしました。限られた時間の中での撮影で大変だったのですが、一緒に役を作ったというよりも、何年かの間の歴史を一緒に作り上げたかのような錯覚があるくらい密な時間を過ごさせていただきました」と親密さをアピールした。
最後に、制作統括の中村高志氏は「このドラマは、昭和史を題材としていまして、登場人物の9割以上は実在の人物を実名で描いています。このドラマのタイトルの“負けて、勝つ”は吉田茂の言葉から付けさせていただいたタイトルです。戦争において大敗し、明日食べるものもないくらいの状況の中で、この言葉を口にしたのです。そういった誇り高い日本人がいて、その言葉を実行しようと頑張った日本人がいたということをこのドラマを見て感じとってくれたらと思います」と見どころを語った。
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