800時間の取材テープが物語る、宮城・南三陸町の人々の素顔

2012/10/04 19:13 配信

映画

いち早く海の仕事を再開させた一人の漁師は、行方不明の一人娘を捜すために網を投げ入れる日々を送っている(c)MBS

大阪・毎日放送(MBS)は、初の長編ドキュメンタリー映画「生き抜く 南三陸町 人々の一年」を制作。10月6日(土)より大阪・第七藝術劇場、順次神戸アートヴィレッジセンター、京都シネマにて、10月13日(土)より東京・ポレポレ東中野にて2週間限定で公開される。

本作は、毎日放送の報道番組「VOICE」の制作スタッフが、宮城・南三陸町を一年を通して取材。記録した取材テープは約800時間にもおよび、ことしの3月にそれらをまとめたテレビ版を関西地域限定で発表し、その反響を受けて初の長編映画として完成させた。

'11年3月11日、地震の発生から約28時間後、取材チームは山と海に囲まれた、人口約1万8千人の三陸沿岸の港町・南三陸町に入った。彼らは、マスコミの画一的な被害状況の連呼や、ドラマチックなストーリーを追い求める姿勢などに疑問を感じ、「報道は被災者たちのありのままの姿を伝えているのだろうか」という思いを抱く。さらに、“被災地の人々”という群像ではなく、顔の見える被災者の喪失感や絶望感、静かな思いを伝えたいと感じたという。

行方不明の一人娘を捜すためにいち早く海の仕事を再開させた漁師、最愛の妻を亡くし幼い2人の子供を育てながら再起を誓う男性、役場職員だった夫を捜し続ける女性など、南三陸町の被災一年の厳然たる現実を克明に描く。