NHK BSプレミアムにて、'12年7月~9月に放送されたBS時代劇「薄桜記」。高視聴率に加え、反響も大きく、'12年10月からはNHK総合での放送も始まった。さらに、2013年1月9日(水)には、Blu-rayBOXとDVD-BOXの発売も決定。主人公の“片腕の剣豪”丹下典膳(たんげてんぜん)を演じた山本耕史に単独インタビューを行った。
――BSでの放送が終わっておりますが、反響はいかがでしたか?
BSでも見てくれた方がたくさんいらっしゃったようです。撮影している時から手応えがありました。視聴者の方から「久しぶりに良い時代劇を見た。毎週楽しみにしています」という声をいただいたことはうれしかったですね。
――異例の速さでNHK総合での放送となりましたね。
そうですね。だったら最初から…と思いますが(笑)。でも、良い作品はちゃんと発展していくのだなと実感できました。
――あらためて、片腕の剣豪を演じて、難しかったことはありますか?
竹光は軽くて、(両手がある設定でも)片手での殺陣もよくやるので問題ないのですが、木刀は両手で振らないと本当に重いんです。振った木刀をすっと止めることができず、振られてしまうんですよ。あとは、納刀が難しかったですね。普通は左手で鞘を押さえますが、左手が使えないとぐらぐらしますよね。刀を添えたら入るように、鞘に切れ込みを入れてもらったりという工夫をしていました。
――左腕を固定されての長期間の撮影で、体に異変はなかったですか?
左腕の関節が常にきまっている状態でした。およそ3カ月間の撮影でしたが、終わってからも1カ月半くらいは左腕に痛みや違和感がありましたね。
――演じられた丹下典膳に共通点や共感する部分はありますか?
共通点を挙げろというと、おこがましいです(笑)。典膳の真っ直ぐに人を愛し、真っ直ぐに自分の生き方を貫くという姿勢は、自分もそうでありたいとは思っています。迷うことがあっても、志通りに生きる強さを持っている姿は、男として憧れます。典膳を演じてみて、あたかも自分がそのような生き方をしているような感覚があり、強さを分け与えてもらったような気もします。
――撮影中のエピソードを教えてください。
典膳と安兵衛には、最初と最後に2人で刀を合わせる立ち回りがあります。でも、台本では最初の立ち回りはなかったし、最後もあのような立ち回りではなかったんですよ。(安兵衛を演じた)高橋(和也)さんや監督に『最初と最後、同じ殺陣でやるのはどうですか』と提案しました。出会った時には典膳には両手があり、最後は片手で同じ殺陣をする。こうすることによってストーリーに深みが出る。スタッフや共演者とも話し合ってこれを実現させました。
――作中で一番印象に残っているシーンはありますか?
これはたくさんありますが…。典膳が千春に自分の思いを吐露するシーンがあります。典膳にも迷いや葛藤、恐怖があり、人間らしい一面を感じられるシーンになっていますね。
――“時代劇”に特別な思い入れはありますか?
やっぱり時代劇は面白いですよ。決まっているようで決まっていないのが時代劇だと思います。昔の写真を見ても着崩れている人ってたくさんいるじゃないですか。坂本竜馬とかね。きっちりしたことだけではなかったと思います。現代劇とは違って正解は誰も分からないので、一番冒険ができるのではないでしょうか。
――最後に視聴者へメッセージをお願いします。
僕にとっては撮影がかなり前のことになります。でも、こうして(NHK総合でも)放送され、DVDやBlu-rayにもなっているということは良い作品なんだなと思います。視聴者の方々が喜んでくれて、制作の方々も望んでいることなんですよね。僕の手からは離れているけれども、日を追っても育まれていると実感し、うれしく思います。
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