士郎正宗原作のSFコミック「攻殻機動隊」の新シリーズ「攻殻機動隊ARISE」の製作発表会が、2月12日、東京・六本木のnicofarreで開催。6月22日(土)より、新宿バルト9ほかにて2週間限定で全国の劇場にて公開されることが発表された。また、有料配信やBlu-ray化などの予定も明らかになった。
「攻殻機動隊」は'89年に士郎正宗が漫画を発表して以来、2度の劇場版とTVシリーズで映像化された作品。本作「攻殻機動隊ARISE」は、新作アニメーションで、各話およそ50分・全4部作のシリーズで構成される。凶悪犯罪を阻止することを目的とした特殊部隊“攻殻機動隊”の創設、そしてこれまで作品において謎に包まれていた全身サイボーグのヒロイン・草薙素子の物語を描く。
まず、「攻殻機動隊ARISE」の製作を手掛けているプロダクションI.Gの石川光久社長、慶應義塾大学の夏野剛教授、角川アスキー総合研究所の遠藤諭氏が登壇し、トークセッションが行われた。「攻殻機動隊」の大ファンだと自認する夏野氏は、「未来の生活ってこんな感じで、こんな技術が必要みたいなことを『攻殻機動隊』は丁寧に描写してくれているわけです。それを実現しなくてどうする。全ての未来が攻殻の中にある。家電メーカーの経営者は攻殻を見なさい!」と作品で描かれる未来社会のリアリティを絶賛。遠藤氏も「政治家の人にも見てほしい」と賛同した。
さらに、総監督の黄瀬和哉氏とシリーズ構成・脚本を務める小説家の冲方丁氏も登場。黄瀬氏は「今ここに立っているのも正直場違いだと思っています。絵ばかり描いてきた人間が演出をできるのか、自分でも自信が無いので、さあどうしようかとゴネたこともありました」とコメント。一方、冲方氏は「お話をいただいて大変うれしかったのですが、怖い気持ちもありました。何しろ非常に影響を受けた作品なので、それに対する恩返しの気持ちと挑戦の気持ち、この二つで作品を作ろうと思っています」と意気込みを語った。また、石川社長は「'10年の夏に、そろそろ新しい『攻殻機動隊』を作りたいと、原作の士郎さんに話をしたんです。そうしたら『CSI』とかアメリカの海外ドラマは脚本が良いので、50分くらいの尺であんな感じのものができたらたらいいな、みたいな話が出たんですね。じゃあ士郎さん、書いてくださいよって言ったんだけど、その時は丁寧に断られました。でも2カ月後には膨大なプロットとキャラクター原案が送られてきた。それがものすごくハードルが高いんですよ。プロットもものすごく複雑だったんで、これを読解するところも含めて、これを受け取る人は冲方さんしかいないだろうということでお願いしました」と「攻殻機動隊ARISE」誕生のきっかけとなる話も飛び出した。
最後に新キャストの発表があり、シークレットゲストで草薙素子役の坂本真綾が登場。これまでも最初の「攻殻機動隊」劇場版で少女の義体役、テレビシリーズでコドモトコ役としてゲスト出演しており、坂本は主役に起用された気持ちについて、「私自身『攻殻機動隊』シリーズは大好きな作品なんですが、キャストが代わるというのは、そのことに(視聴者が)慣れていただくまで頑張らなきゃいけないなっていう思いがあります」と明かし、「コドモトコとして、これまで作品に関わってきたという経験が役立つことがあればうれしい」と抱負を語った。また、ほかのキャストも一新され、荒巻大輔役を塾一久、バトー役を松田健一郎、トグサ役を新垣樽助、イシカワ役を檀臣幸、サイトー役を中國卓郎、パズ役を上田燿司、ボーマ役を中井和哉が務めることが発表された。
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