作家・伊集院静の自伝的小説「いねむり先生」が、今秋、藤原竜也を主演に据えテレビ朝日系でドラマ化されることが分かった。発売以来4カ月で40万部を超えるベストセラーとなった感動の物語が映像で登場する。藤原は「挫折から這い上がった伊集院先生の“マイナスからの再生”を描いた強いストーリーで、今まであまりドラマ化されてこなかったような作品の映像化ですので、しっかり作っていかなければとプレッシャーを感じています」と引き締まる思いで語った。
「いねむり先生」は、妻・マサコ(=夏目雅子)を失った後、すさみ切った日々を送るサブロー(=伊集院静)が、知人の紹介である一人の男性を紹介されることから始まる。その人物とは直木賞作家であり、ギャンブルの神様でもあった阿佐田哲也(色川武大)“先生”。絶望の淵にあったサブローが、一人の個性的な大人の男(=先生)に巡り合って、救われる物語となっている。愛する者との別れ、その絶望からの出会いと再生の物語を、藤原、そして西田敏行ら日本を代表する名優陣で映像化される。
主人公・サブローは最愛の妻・マサコを亡くし絶望と孤独の底にいた。それは運命の出会いからあまりにも短い別れであり、やり場のない憤りと虚無感がサブローを酒とギャンブルにのめり込ませた。程なくアルコール依存症となり、幻聴や幻覚に苦しめられる日々。そんな折、サブローは知人の紹介で“先生”と出会う。その阿佐田哲也“先生”は、チャーミングな人柄で男女問わず多くの人々に慕われていたが、“先生”もまた、突然睡魔に襲われる「ナルコレプシー」という病を抱え、幻覚に悩まされていた。心に傷を抱えるサブローと“先生”は20歳以上もの年齢差にも関わらず、奇妙な共感と愛着で結ばれ、旅をしながらギャンブルを楽しむ“旅打ち”に出掛けることに。すさみ切っていたサブローはその道すがら、先生の際限のない優しさに触れ、救われていく。それは同時に“先生”自身の癒やしにもつながっていた…。本作は、心に傷を抱える2人が、不思議な温かさと緊張感に満ちた交流によって救われる再生の物語でもあり、旅の情緒を交えて魂の交流を描くロードムービーともいえる。
主人公・サブローを演じるのは、'11年2月放送のドラマスペシャル「遺恨あり 明治十三年 最後の仇討」(テレビ朝日系)で、第37回放送文化基金賞テレビドラマ番組部門の演技賞を受賞した藤原。孤独に打ちのめされ、幻覚に苦しむ主人公が徐々に立ち直っていく姿を繊細に演じていく。人懐っこく、慈愛に満ちた“先生”役に西田、そして2人を結びつける友人・黒上(モデルは漫画家の黒鉄ヒロシ)を阿部サダヲ、サブローのよき助言者となるミュージシャン・井野(モデルは井上陽水)には谷原章介が扮し、2人を温かく見守る。また、監督は映画「東京タワー」('04年)などで知られ、「遺恨あり」で藤原とタッグを組んだ源孝志監督が担当。あまりにも濃厚な物語を丁寧かつ大胆に紡いでいく。
原作者の伊集院は「西田さんが“いねむり先生”によく似ていらしたので驚きました。藤原さんは男前過ぎますが、放浪する若者の雰囲気がよく出ていました。2人を囲む豪華出演者の方といい、仕上がりを楽しみにしています」とコメント。また、藤原は「サブローは伊集院先生そのものでありながら、でもやはり違うところもある難しい役柄ですね。“先生”との交流で温かいものを感じ取って救われつつも、でもその真逆の“冷たい固まり”のようなものを胸に抱えたままの人物でもあり、バランスを取るのが難しい。監督と話し合い、西田さんをはじめ共演者の方々とも確認し合いながら演じています。いま、孤独を抱えている方々に“決して一人じゃない、救ってくれる人は必ずいる”と感じてほしいという思いで作っています。一生懸命撮影していますので、ぜひ多くの方にご覧いただき、この作品が醸し出す温かい空気に包まれていただきたいですね」とアピールした。
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