昨今、にわかに脚光を浴び始めた4Kテレビ、8Kテレビ、スマートテレビといった次世代型テレビ。それらの推進団体・次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)が5月2日に発足し、その設立発表会が6月17日に都内で開催された。
4Kテレビ、8Kテレビは現行のハイビジョンよりさらに高精細な放送サービスで、特に8Kは人間の目にはこれ以上鮮明に見ることはできないとされる画質が再現できるというもの。中心となって開発したNHKは“2Dとしては究極のテレビ”と胸を張る。一方、スマートテレビは放送と通信の連携により、より多彩なサービスをお茶の間に提供できる。
総務省の「放送サービスの高度化に関する検討会」が作成したロードマップにより、4Kは'14年から、8Kは'16年から試験放送を開始する運びだが、NexTV-Fはそれをオールジャパン体制で推進するため、放送事業者、家電メーカー、通信事業者、広告代理店、商社など、21の日本を代表する企業が結集して設立された。理事長に就任した東京大学大学院教授の須藤修氏は、次世代型放送の実用化は「映像文化の一層の向上」とともに、「日本の産業競争力を強化することにも繋がると確信しています」と、日本初のサービスモデルを世界に波及させる方針に言及した。一方、副理事長に就任したNHK会長の松本正之氏は、昨年、日本、イギリス、アメリカで実施したロンドン五輪のパブリックビューイングで「多くの方から圧倒的な臨場感に大変好評をいただきました。ぜひ早く実現してほしいという声がありました」とのエピソードを披露。同じく副理事長でソニー代表取締役社長兼CEOの平井一夫氏も、東京・銀座のソニービルで4Kで収録した歌舞伎を上演した際、来場した年配者から、「大好きな役者の汗、涙までくっきりと見え、感動しました」という声をたくさんもらったと、超高精細度テレビの需要の高さを明言した。
ただ、地上波とBSが完全デジタル化したのは'11年(東北3県を除く)。その後短期間に4K、8Kと新たな受像機が登場することになる。NexTV-Fの運営委員長を務めるNHK技師長の久保田啓一氏は、4Kを買ったからといって2K(現行のハイビジョン)が映らないというわけではなく、8Kについても8K画質で見ることはできないが、ダウンコンバートして視聴できるような仕組みを作る必要があるとし、「買い替えを無理強いしない」ようにしなければならないと語った。