奥田英朗の傑作サスペンス「オリンピックの身代金」が今秋初のドラマ化!

2013/09/24 05:00 配信

ドラマ

「オリンピックの身代金」(テレビ朝日系)で警視庁捜査一課の刑事・落合を演じる竹野内豊(C)テレビ朝日

'64年の東京オリンピックを成功に導こうとする警視庁の刑事の活躍を描く傑作サスペンス「オリンピックの身代金」(角川書店刊)が、テレビ朝日系で今秋SPドラマとして二夜連続で放送されることが分かった。竹野内豊を主演に迎え、昭和30年代の風景や人物を圧倒的なスケールと多彩な出演者によって映像化する。竹野内は「2020年のオリンピックが東京で開催される事を聞き大変うれしく思いました。この作品は約50年前の東京オリンピックを舞台にした奥田英朗さんの小説をドラマ化したものですが、テーマは現代にも通じるものであり、今回の招致を機にオリンピックへの関心がより高まっている中、多くの視聴者の方々にこの作品を見ていただければと思います」と、アピールした。

同作の舞台は、昭和39('64)年に敗戦からの経済的復興を国際社会に示す国家の一大イベント“東京オリンピック”の開催を目前に控えた東京。民衆がイベントを熱烈に待ち望む中、警察幹部宅や外務省などを狙った事件が発生し、一通の脅迫状が警視庁に届く。国家を揺るがす事態に、敗戦国から一等国に駆け上がろうとする国の名誉、警察の威信をかけた極秘大捜査の末に浮かび上がった容疑者は、名もなき一人の学生だった。そして、戦後最大の国家的イベントを前に、警察と謎の犯人との息詰まる対決が始まる…というストーリー。

そんな傑作サスペンスがこの秋、テレビ朝日の「開局55周年記念二夜連続ドラマスペシャル」として初めて映像化される。昭和30年代の日本の輝かしい高度経済成長の陰で苦しむ人々と国家の対決を描く。撮影では、昭和30年代の街や人々の暮らしぶりを再現するために北九州など国内数10カ所、そして韓国の撮影所でもロケを敢行。リアルな映像を徹底追求し、物語と映像の両面で視聴者を東京オリンピックが開催された時代にグッと引き込んでいく。

さらに、キャスティングもテレビ朝日の開局55周年記念ドラマとあって豪華なものに。主役であり、物語の語り手でもある、事件の真相を追い求める警視庁捜査一課の刑事・落合昌夫を竹野内が演じる。また、昭和39年の東京五輪に向けて起こる事件の容疑者の一人で、落合刑事に追われる東京大学の貧しき大学院生・島崎国男役で松山ケンイチが出演。これが初共演となる竹野内と松山の対峙(たいじ)を軸とした、豪華キャスト陣の交わりによって生じる熱い“心の共鳴”が物語に深みを持たせる。味わい深い登場人物たちの心の機微は、鼓動が高まる極上サスペンスを生み出すと同時に、昭和30年代の格差社会に悩む人々のドラマを展開して、現代に生きる人々にも深い共感を呼びそうだ。

主演を務める竹野内は演じる落合刑事について「落合は正義感の塊のような人で、常に日本の未来を見詰めて考えています。そんな落合が、全国民が『東京オリンピック開催に日本の希望と未来がある』と信じていた中で、島崎という男の心の叫びに触れ、何が本当の正義なのかよく分からなくなってくる。その葛藤の中に、東京オリンピックという“光”の犠牲になってしまった地方の貧しい人々の心をどれだけ映し出すことができるか、そう考えたとき『十分な覚悟を持って取り組まないといけない作品だ』と思いました。最後の最後まで、これほど悩んだ作品は久々です」と、重厚な役柄への苦悩を明かした。また、共演の松山については「大きな助けとなったのは島崎を演じる松山さんの存在でした。松山さんの瞳の奥に言い知れぬ力が宿っていて、言葉にならない叫びをすごく静かに、かつ絶妙に演じられており、もう島崎にしか見えなかったんです。特に、クライマックスのシーンで彼と対峙したときは、自分の心にもスッと落ちる何かがありましたし、本当にすごい俳優だと思いました」と、彼の持つ魅力を絶賛した。

一方、松山は「竹野内さんとは初めて共演させていただきましたが、中学・高校時代から作品を拝見し独特な何かを持ったカッコいい俳優さんだと思っていたので、今回の共演を凄くうれしいと思う半面、緊張もしました。しかし、竹野内さんのおかげで対立関係にあるはずの落合と島崎の間にある“つながり”をきっちりと表現できたと思います。そんな竹野内さんをはじめとする素晴らしいキャストやスタッフと共に作り上げた“今しかできない作品”です。ぜひご覧いただきたいです」と、竹野内に敬意を評しつつ、作品をアピールした。