NHKは現在のハイビジョンの16倍の超高精細度を誇る8Kスーパーハイビジョンで映像作品を制作し、第26回東京国際映画祭で上映している。8Kスーパーハイビジョンは東京オリンピックが開催される'20年に国やNHKなどが本放送の開始を目指している近未来のテレビで、2Dとしてはこれ以上鮮明な画像が再現できないとされている。
上映される作品は「8Kショートムービー『美人の多い料理店』」や「超高精細映像の冒険~8Kドラマ『コーラス』」など。「美人の多い料理店」は監督・李闘士男、主演・中井貴一による短編映画で、ことしのカンヌ国際映画祭に出品したもの。中井貴一演じる料理研究家が、美女を追い求め苦闘する。
一方、劇作家で俳優の岩松了が脚本、出演を務めた「コーラス」は、今回の上映に合わせて制作された新作で、あるアパートを舞台に、そこに生きる人々の人生を描き出した群像劇だ。6等分されたアパートの部屋の全ぼうを、引きのワンカットで映し続けるという実験的な作品で、引きの画面でも部屋に積み重ねられた書籍の冊数が分かるほどクリアな映像が魅力だ。その他、音声もスーパーハイビジョンならではの22.2chを採用している。
10月18日の「コーラス」の上映後、岩松と音楽を担当した清水靖晃氏が舞台あいさつに登壇。岩松は今後の8Kでの作品制作について、急には思いつかないとしつつも「いずれにしても変わったドラマになるでしょうね。切り返しとか使っても仕方がないでしょうし」と従来の手法では通用しない部分があることを示唆。また、清水氏も屋外での上映時に、録音した音と自然の音とを融合させる新たな演出方法を提唱した。
東京国際映画祭ではこの2作品の他、「リオのカーニバル」などさまざまなコンテンツを10月20日(日)まで上映する。
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