12月18日(水)にNHK総合にて放送される特集ドラマ「かつお」の試写会が行われ、出演の大友康平、芦名星、梅沢富美男、チーフ・プロデューサーの山岸秀樹氏、演出の中寺圭木氏が登場した。本作は、これまで復興を目指す人々の歩みをドキュメンタリーなどで伝えてきたNHK仙台放送局が、被災地の人たちの姿を初めてドラマ化。仙台の仮設住宅で暮らす人々や、その家族たちが震災を乗り越えて懸命に生きる姿を描く。
おっちょこちょいだけど人情味あふれる“かつお”の愛称で呼ばれる漁師の山村武雄(大友)は、震災後も仮設住宅で家族や仲間たちと共に真っすぐに生きてきた。妻・幸江(鈴木京香)が震災で行方不明になり、息子の裕樹(嶺岸佑樹)と娘の蘭子(古田うた)を残して死ねないと沖に出ることをあきらめ、山村は慣れない建設現場で日々働いていた。そんな気丈に生きる親子3人の前に、謎に包まれた美しい女性・栞里(芦名)が現れる。
“かつお”こと山村を演じる大友は、今回のドラマについて「震災の後、力強く復興に向けて動いている時、地元のNHK仙台がドラマを制作するのは非常に意義があると思いました。自分自身が仙台で熱くバンド活動をしながらデビューまでこぎつけて、そのあと全国に飛び立ったわけですけども、地元に対する恩返しというか、地元に対して何かできたらいいなとずっと思っていましたので、二つ返事で引き受けました」とオファーを受けるまでの経緯を語った。さらに「とにかく、まずこのドラマを見ていただきたい。震災以降3年近く経ちますが、復興はまだまだ遅々として進みません。5年、10年と本当に長いスパンで考えないと復興はないと思います。それでも力強く一歩ずつ踏み出しています。全国の方には震災を風化してほしくないし、逆に地元のみなさんには、一歩ずつ踏みしめながらまた明日に向かっているんだなという気持ちになってもらえればいいかなと思っています」と地元復興への思いをあらわにした。
一方、芦名は「台本を初めて読んだときに、(演じる栞里が)福岡からやって来た女性の役だとわかって、『こっち側(被災していない側)なんだ』というのが最初の私の感想です。ただ、生きている人皆に震災を乗り越えようという思いがあると思うので、その代表として私の役があるとうかがって、そういう気持ちで取り組んでいこうと思いました。被災地の皆さんと一緒に作り上げたものを、日本中の方に伝えていけたらいいなと思います」と語った。
物語のキーマンとなる浜の長老・前島吾郎役の梅沢は「震災が起きたことを絶対に忘れてもらっては困るし、皆の心が一つになって、なんとかならないかと思っているときに今回のドラマのお話がありました。 生意気言わせてください。NHKの本局が作るなら出るのをやめようと思っていました。なぜかというと、ドラマになってしまうので。NHK仙台放送局の人たちがこのドラマを作るんだと聞いたとき、とってもリアルに作れるんだろうなと思いました。自分たちが経験していますから。やっぱり地元の方たちがどんなに苦しんで、どんなにつらい思いをしているかを目の当たりにしているので、きっといいドラマができると思って引き受けさせていただきました。このドラマを見ていただいて、もう一度、大変なことが起きたんだなということを忘れないでもらえれば嬉しく思います」と本作に懸ける熱い思いを口にした。
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