4月10日に東京・渋谷の國學院大學で、4月19日(土)公開の映画「そこのみにて光輝く」試写会が行われ、会場に集まった学生の前に主演の綾野剛と呉美保監督が登壇した。
佐藤泰志原作の映画「そこのみにて光輝く」は、短い函館の夏を舞台に、生きる目的を見失った男と愛を諦めた女との出会いや、底辺で生きる家族の様子を描いた作品。ある出来事をきっかけに仕事を辞め、目的もなく毎日を過ごしていた佐藤達夫(綾野)が、ある日パチンコ店で使い切りライターをあげたことをきっかけに、粗暴だが人懐っこい青年・大城拓児(菅田将暉)と知り合う。そして、達夫は拓児に誘われるままに付いていった先で、家族のために過酷な日常を生きる拓児の姉・千夏(池脇千鶴)と出会い、互いに心引かれ、距離を縮めていく。
綾野は「学業に専念している環境にお邪魔するのは非常に恐縮ですが、(原作者の)佐藤泰志さんの母校ということなので、あらためて佐藤さんのことを知っていただくきっかけになればと思います」とあいさつ。撮影を振り返り、「(役作りのために)プロデューサーと監督に許可をもらって、毎晩(酒を)飲んで、翌日は二日酔いで目を赤くしながら撮影をしました。(出演者)全員ノーメークでやっていたんで整髪料も付けていませんでした。とにかく生で勝負したかったというのがありまして、暴力的なシーンでも全部(相手に)当てていました。(ポスターの写真も)たたかれるシーンの後に撮影したので、顔がちょっと腫れてるんです」と裏話を明かしつつ、「(他の作品だと)朝に30分くらいメークの時間があるんですけど、(この作品は)それがなくてすごい楽で(笑)。髪の毛は水で洗うだけ、顔は腫れててもいいということで最高でしたね!」と過酷な撮影の中での意外な心境を告白した。
また、舞台あいさつ中に、本作がカナダの「第38回モントリオール世界映画祭」ワールドコンペティション部門への出品が決まったことが発表されるサプライズも。それを受けた綾野は、「うれしいですね! この作品は良くも悪くも何かしらの形で評価されてほしいと思っていたので。こういう時の感情表現が苦手なんですけど、めっちゃ笑っちゃったよ」と笑みを浮かべながら語った。
最後に、綾野は「自分を愛することができない人、自分を抱きしめてあげられない人が世の中にいるんですけど、そんな人を愛したり抱きしめたりする世の中になればいいなと、この映画を見た時に思いました。皆さんが見終わった後、心に小さな愛がともれば幸いです」と会場に集まった学生に向けてメッセージを伝えた。
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