二宮和也が挑む「誰にも影響を与えないドラマ」とは?

2014/04/12 10:30 配信

芸能一般

野球部のキーマンの一人・赤岩役の福士蒼汰。本人は「野球をやるのは初めてで、やってみたらまあ下手で(笑)。今はリアルへっぽこです。作品を通じて成長していければ」とコメント

NHK連続テレビ小説「花子とアン」を皮切りに“春ドラマ”が続々とスタートしている。そんな中でも目立つのが、知る人ぞ知る漫画の名作や異色のノンフィクションなど、意外な作品が原作になっているドラマたち。そんな“意外な原作ドラマ”の見どころを解説していこう。

■原作は“ドラマのような”実在の個性派野球部を追ったノンフィクション

日本テレビ系にて、4月12日(土)夜9時からスタートするドラマ「弱くても勝てます~青志先生とへっぽこ高校球児の野望~」は、二宮和也が3年半ぶりにドラマの主演を務めることでも話題となっている作品だ。

原作は「『弱くても勝てます』 開成高校野球部のセオリー」(著/高橋秀実。新潮社)。日本有数の進学校・開成高校野球部の天才・秀才たちが“弱くても勝てる”ようになるために考えだした、練習や試合での取り組みを追った異色のスポーツノンフィクションで、取り組みの例を挙げると、

・監督が「野球をしようとするな!」と説く

・練習は週1回、3時間しかしない

・攻撃を徹底的に重視し、練習時間はほぼ打撃練習に費やす

・「ボールを拾う」動作だけの練習を何回も重ねる

などがあり、いずれも根性・スパルタといった従来の高校野球のイメージから離れた奇想天外なものばかり。しかし、一見奇想天外ながらも確実に実力を伸ばし大会を勝ち上がる野球部の快進撃や、合理的過ぎるがためにどこかおかしさも感じられる行動に走る野球部員たちの姿は、まさに“ドラマのような”痛快さ、面白さに満ちたものになっている。

■円熟味を増した二宮和也×期待の若手俳優たちの演技に注目

二宮が演じる本作の主役は、日本有数の進学校に臨時教師として赴任し、ひょんなことから弱小野球部の監督になった東大の研究者・田茂青志(たも・あおし)。原作に登場する野球部の監督と同様とても理屈っぽい性格で、半信半疑の目を向ける野球部員たちを尻目に、奇想天外な指導法を次々と編み出していく。二宮和也は今回のドラマ主演について、冗談を交えつつ次のような実感を述べている。

二宮「(年下のキャストが多いので)こんなに二宮さんとかニノさんと呼ばれる現場は初めて。みんなにご飯をおごったりするだろうから、このドラマでは僕は赤字になるんでしょうね」

10代から俳優活動を始め、現在では世界からも評価される俳優に成長した二宮は、今では現場を引っ張る立場にもなっているよう。日本テレビのドラマ主演も初、教師役も初という新境地の中で、円熟味を増した二宮の演技に期待が集まる。また野球部員役に福士蒼汰、中島裕翔、本郷奏多ら、野球部のマネジャー役には有村架純と、脇を固める俳優陣には若手のホープたちがずらり。劇中では「偏屈な教師=二宮」と「個性的な教え子=若手俳優たち」の掛け合いも楽しみの一つになるだろう。

■「はらちゃん」のプロデューサーが、異色のノンフィクションを“異色の青春ドラマ”にする

本作のプロデュースは務めるのは河野英裕氏ら。河野氏は長瀬智也が漫画のキャラクターを演じたヒューマンドラマ「泣くな、はらちゃん」('13年日本テレビ系)や前田敦子がロボット役に挑戦した学園ドラマ「Q10」('10年日本テレビ系)など異色作・意欲作を次々と世に送り出している人物で、本作のコンセプトとテーマについて次のように明かしている。

河野「本作のコンセプトは『みんなが楽しめるドラマ』。原作からは『人間は弱いものだ、でも勝てるのだ』というテーマや、『とても優秀だけど、野球は“へっぽこ”な子たちが、甲子園を目指している姿の面白さ』といった部分を取り入れていきたいです」

さらに河野氏は本作を、ただの野球ドラマや青春ドラマにはしたくないという意欲も見せている。

河野「ナチュラルな青春ドラマを作りたいんです。原作では野球に対する取り組みしか書かれていませんが、本作では学校生活も描きます。そこでは、青春ドラマや学園ドラマによくある“スクールカースト”だったり“LINEいじめ”のような刺激的な話題は取り上げません。あくまで、単純に下手な子たちが上手くなるように努力する姿や勉強と部活に真剣に取り組む姿を描くことで、若者のリアルな感じを出したいんです」

河野氏の思いに同調するように、二宮も視聴者へこんなメッセージを送っている。

二宮「この作品を見て、視聴者が『野球やりたい、甲子園行きたい』という気持ちにはたぶんならない(笑)。誰かに影響を与えるわけでもない、そういうドラマがあってもいい。だからこそ、ニュートラルに見ていただけることもあるのではないかと思っています」

「弱くても勝てます」は、異色のノンフィクションを題材にした、若者のリアルな姿を描きつつも“誰にも影響を与えない”異色の青春ドラマとして、注目を浴びることになりそうだ。

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