WOWOWでは、5月25日(日)から6月8日(日)まで、「全仏オープンテニス2014」グランドスラム第2戦を放送する。「全仏オープンテニス2014」の開幕を前に、43歳の現在もトップレベルでテニスを続けているクルム伊達公子のインタビューが到着した。
――現時点での今シーズンの自己評価、思うところは?
テニス自体がすごく悪いわけでもないですが、すごく良いわけでもないという状態が続いています。悪いことではないのですが、自分の中ではちょっと手応えが感じられない。 調子が悪いわけではない、悪いから何かしないといけないというわけでもない。すごく良いから手応えを感じて試合に入れるわけでもない。いつも何かちょっと物足りない感じの中で戦っている状況です。
――パタヤ・オープンでは、ガルビネ・ムグルッサ選手、モンテレイ・オープンではフラビア・ペンネッタ選手といった世界ランキング上位のシード選手にも勝ってきています。良い結果が出ていると思いますが。
これまでは大会に入る前に、なんか今回は調子良いなとか、体調が良ければなんとなく手応えがあるからいけるかも、といった自分自身への期待感の中で大会に入ることが調子の良い時はある程度ありました。でもそういう感覚まではいかない。いつももうちょっと、もうちょっと何かがと思う中で、試合に入っていくことが多いです。でもかといって何かが悪いというわけでもない。そこがもう一つ物足りない部分につながっていると思います。何か際立つものが見えない感じです。
――'08年4月に復帰会見をされて、7年目のシーズンを迎えました。早くももう7年目なのか、やっと7年目なのか。ご自身ではどう感じられていますか?
「もう6年もやったの!?」という感じですね。まさかの6年ですね。年月という意味でもそうですし、6年なんだかんだ言いながらグランドスラムに出場を続けることもできています。それができているというのも、冷静に考えれば自分でも奇跡と言っていいんじゃないかな、と思っています。自分の気持ちがそれだけ続いていることも、体がもったこともそうです。ツアー中は、当たり前のように、若い選手と同じようにもがいているため思いませんが、よく6年も気持ちも体ももったし、この場所にいられたなと思います。あと一つは90年代のキャリアが8年なので、それに近づく年数をやっているかと思うと、自分でもさらにすごいと驚きますね。
――今の一番の悩みはなんですか? それを解決するために取り組んでいることは?
悩んでいることは、せっかくけがしなかったのに、最近けがが続いたので、どうけがをしないのか、そこに尽きますね。
――具体的な対策、欠かせないこと、これだけはやっておかないといけない重要なことは?
やれることは常にどれもこれもやっているので、今あらためて新しいことというのは、限られてきます。回復力が高まることも期待できないですし、科学的にやっても限界はあるので、基本的にはできるだけコートの中でエネルギーを使う。本当に栄養面と自分の体のケアと、自分の体と常に向き合い、そこにより早く自分の変化をキャッチするということを心がける。今もけがはしましたが、3、4週間まったく動けないということではなくて、小さいけがでとどめられています。ある程度体の変化に気づいた時は、潔く諦める。諦めることが、テニスを長く続けられることにつながるので、けがをしない体というのは若い選手でも無理ですから、今の私の年齢を考えるといかに最小限にとどめるか、そこに気をつけないといけないと思います。
――グランドスラムでの活躍を目標に掲げていると思います。全豪オープンの振り返りと全仏オープンで挑戦したいことはありますか?
全豪では自分のテニスはそれほど悪くなかった。暑かったですし、相手が若く長期戦に持っていかれると自分自身が苦しくなる、(それを踏まえて、全仏で挑戦したいのは)そうやって長いラリー・長い試合にならないように、自分がいかに動かず相手を走らせるテニスをするかですね。長いラリーに持ち込ませないテニスを意識して、ここ数カ月はやっています。暑さや若い選手といったことも、大きな大会になれば勝ちへの執着心も大きくなるだけに、そこでどううまく戦うかを考えさせられました。そこは意識して、ずっと向き合っています。クレーになるとなおさら長いラリーになったり、空間を使うテニスを全員がしてきます。そこをどうけがをせずに、嫌いなクレーを戦い抜くか。サーフェスは違いますが、そこも共通する部分ですので、クレーでも意識してやってみようと思っています。
――全豪オープンでロジャー・フェデラー選手(スイス)は先手を取って相手を動かすと言っていました。クレーにおいても前に出るとか早いボールを打つというのは意識していますか?
クレーで練習を積んで見えてくることはあると思います。どのサーフェスであれ、いかに自分が動かないということと、相手が嫌がるテニスということを考えると、私ができることの一つとしてネットプレーを活かすことが考えられます。ネットにいける展開を作ることも、できないわけではない。それが自分の武器と言えるほどではないですが、相手が嫌がることは絶対だと思います。そこは武器ではなくても使っていくことが必要だと思います。
――相手を動かすテニスをしたいとおっしゃっていました。これがテニスの真髄かと思いますが、そのために磨く部分は?
細かいことを言うといろいろあるのですが、なかなか思うようにいかないことばかりで…。あえて言うなら、バックのダウンザラインの精度を上げたい、というのが課題としてずっとありますね。
――それはご自身の中では武器として持っていたものをさらに磨くということですか?
武器を使うためにはその一本の精度が上がらないと、なかなかその展開に持っていけない。バックのダウンザラインに打つ精度が上がることで、ラリーの回数が減る。ダウンザラインに持っていければ、相手がクロス、つまり私のフォア側に振ってきたらカウンターで取るというパターンができるので。そこにいかに持ってこさせるかですね。
――クロスでの長い打ち合いは避けて?
そうですね。そこに頼ってしまうと、どうしても長いラリーになってしまいます。 (長いラリーを避けるために)精度を上げたいです。
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