「報道ステーション」など、数々の番組を手掛けてきた構成作家・小松武幸氏の著書を阿部サダヲ主演で映像化したドラマスペシャル「ママが生きた証」(テレビ朝日系)が、7月5日(土)に放送されることが分かった。これがテレビ朝日のSPドラマ初主演となる阿部は「原作の奥様・美恵さんの強さ、そして遺していったものがすごく大きいと思いました。美恵さんが遺していったものは、いま生きている人たちにとっても大きいものになっていると思うし、漫然と一日が過ぎてしまう日もありますけど、最近では“もったいない”と思うようになりました。そういう感覚をいただいた作品です」と、万感の思いを明かした。
「ママが生きた証」は、妊娠5カ月で末期がんを宣告されながらも勇気を持って出産に臨み、無事に長男を出産後、天国へ旅立った女性と彼女を取り巻く夫や家族の絆を描いた実話。「報道ステーション」や「世界水泳」など、数々のスポーツ番組を手掛けてきた“古舘プロジェクト”の小松氏の同名著書を、ヒットメーカー・尾崎将也氏が脚色し、秋山純氏が演出を手掛けて映像化したもの。キャストの素直な心の揺れを描き出すため、リハーサルなしの撮影を試みるなど、大胆な手法を駆使して仕上げられた。
小松氏の妻・美恵さんは、'10年8月に末期がんを宣告された。当時、結婚3年目の29歳で妊娠5カ月の体で自分の命か、生まれてくる赤ちゃんの命か決断を迫られることに…。強い抗がん剤を投与することは、お腹の赤ちゃんを危険にさらすことになるのだが、薬の投与をしなければ、がんを抑えることはできない。そんな残酷な決断を迫られた彼女と夫、そして家族が選んだ道は国内初となる、抗がん剤を投与しながらの出産。結果、美恵さんは、'10年12月に元気な男の子を出産し、翌年の9月に永眠した。がんの告知から1年と2カ月にわたる闘いの日々は、報道番組の作家でもある夫・武幸氏が克明に記録。成長して見ることになる息子のために、そして同じ病気に苦しむ人々のために。
ドラマでは、夫の武弘に阿部、妻・恭子に貫地谷しほりが、初めての夫婦役を熱演。恭子の父・光吉を平泉成、母・泰江を市毛良枝、そして武弘の父・志郎を森本レオ、母・真澄を田島令子とベテランの演技派俳優が脇を固める。末期がんとの闘い、生まれてくる子どもの命か自らの命か、という究極の選択。阿部、貫地谷ら俳優陣が持つ独特の個性も存分に発揮され、いわゆる“難病もの”とは一線を画した前向きなドラマとなっている。特に恭子が病床で長男へのメッセージを武弘にビデオに収めてもらうシーンでは、武弘演じる阿部が思わず涙してしまうほど感情が高ぶるシーンとなり、クランクアップ直後のあいさつでは貫地谷も涙を流すなど、キャスト、スタッフが本当の家族のように感情移入。尾崎氏による飾らないセリフの応酬で淡々と描かれる夫婦、家族の姿も視聴者に受け入れられそう。一つの命を生み出し、旅立っていった女性と家族の闘い。見終わったあと、さわやかな感動と共に前向きな気持ちになれる、そんなドラマにこの夏、体のいろんなところがアツくなりそうだ。
主人公・武弘を演じる阿部は「僕の母親も乳がんで亡くなっているんです。それをドラマにすると、暗い、かわいそう、といったイメージになりがちですが、この作品では最後までたわいもない話とかを普通にしていたりするので、そういう淡々と生活を送っているところを出したい、と思いました。がんの告知を受けて、妻、恭子の実家で両親に報告したときに、恭子がいなくなって海岸へ探しに行くシーンがあるんです。それまで穏やかだった天気が、なぜかそのシーンの撮影のときになって急に強風が吹いてきて。役者として気持ちがたかぶってきて、その時にこの現場はいいな、という思いました。明るいドラマなので、いろいろな方に前向きな思いで見ていただきたいと強く思います!」と、力強く語った。
また、妻・恭子役の貫地谷は「母親が旅立っていって、新たな命の歩みが始まる。そんな命の力強さをすごく感じたので、それをどう表現すればいいのかを一番に考えました。一方で何気ない家族との会話など、生活感あふれるシーンは思い切り楽しんでやれました。病気のことよりも生きている実感が、演じていて強く印象に残りました。家族のシーンも印象的で、撮影外でもみんなが家族のように喋っていました。そんな家族の温かさを感じて、穏やかな気持ちになってもらえるシーンもたくさんあります。ぜひ、ご家族で見てもらいたいと思います」と、笑顔でアピールした。
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