「赤毛のアン」を翻訳した村岡花子の生涯を描くNHK連続テレビ小説「花子とアン」(NHK総合ほか)が、11週連続で週平均視聴率21%を超えて絶好調(視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区)。その人気の理由をヒロイン・花子(吉高由里子)の恩師で、花子が教員になってからは校長として接する本多役のマキタスポーツに聞いた。
マキタ:僕は山梨の出身なので、このドラマで山梨が注目されたことはとてもうれしいですね。主演の吉高さんは気負いがなく柔らかい人。冗談を言って現場を和ませてくれるので、すごく好きになっちゃって、職員室では花子と朝市(窪田正孝)が仲良くしているのを離れたところから見て、爪をかんでいました(笑)。本多にしてみれば、花子は朝市と結婚してくれた方が良かったんでしょうけど、東京に行ってしまいましたね。本多は山梨しか知らない男だから「パルピテーション(ときめき)とか言ってねぇで、帰ってこい」と思っているだろうな。
人気を博した'13年の朝ドラ「あまちゃん」でも「じぇじぇじぇ」が大ブームとなったが、今作も「こぴっと」「てっ」などの甲州弁が話題に。本作がここまでヒットした理由は?
マキタ:朝ドラは女性の成長譚であって、そこに方言と戦争、そしてナレーションという重要な要素が加わってくる。今回の山梨のように地域振興という役割もある。そういう必要条件を入れた上で世間の話題もさらうというお題を、脚本の中園ミホさんが見事にこなしているんだと思います。昔からその時代の革新的な“とんでる”女性がヒロインになってきて、実際の村岡花子さんもかなりの逆境を生き抜いた人。でも、その生きざまをだいぶマイルドにしてあるのも、広く受け入れられた原因かもしれません。だって、保守的な土地柄である山梨で当時「パルピテーションが」なんて言っていたら、「だっちもねぇ(くだらない)、畑を耕せ」って返されると思いますよ。だから、大正・昭和の物語で花子たちは着物姿だけど、現代的な価値観で動いている。今の朝ドラにあるのは、いわばコスプレの楽しさなんですよ。
本作のもうひとつの大きな魅力は、花子と伯爵家のお嬢さま、蓮子(仲間由紀恵)の友情にあると言う。7月放送では、ついに有名なある事件が起きるが…。
マキタ:花子と蓮子は太陽と月の関係。これも朝ドラマのセオリーですね。僕は昔から、(松田)聖子ちゃんより(中森)明菜派だったから(笑)、やっぱり月のような蓮子の方に引かれます。つい応援したくなるなぁ。
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