日本中を恐怖の渦に巻き込んだ、怪獣・ゴジラがスクリーンに登場して60年。ゴジラ作品は、公開時の日本を投影し続けている。
第2次世界大戦中の広島・長崎への原爆投下に加え、第五福竜丸事件が起きたことで、本格的な反核運動が始まった'54年。当時公開された初代「ゴジラ」で描かれたゴジラは、水爆実験で目覚め、口から放射能を出すという設定だった。また、'71年に公開された「ゴジラ対へドラ」では、社会問題となり始めていた公害問題が取り入れられ、有害物質をばらまく怪獣・へドラは、自然を軽視する社会や人間への警告でもあった。
そして、今年アメリカで新たなゴジラ作品、ハリウッド版映画「GODZILLA ゴジラ」が完成。日本では7月25日(金)より全国東宝系で公開される。今作のメーンキャスト・生物学者の芹沢博士役で出演する渡辺謙に、ゴジラ作品に対する思いを聞いた。
“1番最初に見たゴジラ作品”について渡辺は「幼少期に、キングコングやキングギドラが出る作品を観ていました。けれど僕は、どちらかと言うと“ガメラ派”だったんですよ(笑)」と、いきなりビックリ発言。また、「この時代にゴジラで再びエンターテインメントができるのか、という心配がありました。しかし、ギャレス・エドワーズ監督は非常にゴジラに造詣が深く、ゴジラの容姿や鳴き声、バックに流れる音楽も含め、相当な分析をしていました。僕も“これなら大丈夫!”と自信を持ちました」と、撮影期間中を振り返る。
今作では、'11年に発生した東日本大震災を想起させる、原発事故や巨大津波のシーンが描かれている。震災後の日本が抱える問題に踏み込んでいることについて、渡辺は「本来は、日本人が作らないといけない映画なんじゃないかと思いました。日本の俳優として(映画に)参加しないわけにはいきませんでした」と、作品への真摯な思いを語った。
ゴジラ作品には、怪獣同士が激しく戦うシーンなど、子供が楽しめる要素が存分に用意されている。しかし、それだけではない。大人にとっても、科学至上主義や文明至上主義がほころんでいくストーリーは胸に刺さり、過去と向き合う大切さを、ゴジラは教えてくれるのだ。
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