猫との撮影は“無心”が大事!?「グーグーだって猫である」犬童一心監督インタビュー【後編】

2014/10/17 21:08 配信

ドラマ

「連続ドラマW グーグーだって猫である」の犬童一心監督が撮影エピソードを語る!

10月18日(土)にWOWOWプライムでスタートする「連続ドラマW グーグーだって猫である」。大島弓子の自伝的コミックエッセーを原作に、宮沢りえ演じる少女漫画家・麻子と飼い猫・グーグーの温かな日々を描くオリジナルスートーリーだ。今回は、'08年公開の映画版に続いて監督を務めている、犬童一心氏のインタビューを前後編に分けて紹介。この後編では、大島弓子作品への思いや、吉祥寺という街の魅力、猫との撮影エピソードなどを語ってもらった。

―大島弓子作品の魅力についてお聞かせください。

「少年漫画は、戦って何かを獲得する、そして成長するっていうベースがあると思うんです。少女漫画は、全部がそうじゃないけど、少なくとも大島さんの作品や僕がいいなって思う漫画は、戦って何かを獲得することにあまり価値を見出していない。もっと、毎日の目の前の“今”って言うものを、どれだけ大事にできるかって言うところに立って描いている。あと大島さんの場合は、大変な世界や状況にあっても、その世界をどうやったら肯定できるのかを探すということをずっと描いていて、そういうことでドラマを作るのが新鮮だったんですよね。大島さんはストーリー漫画を描かなくなって随分経つんですけど、『グーグーだって猫である』と続編の『キャットニップ』を通して読むと凄いですよ、猫の叙事詩というか。猫がどういう風にやって来て、どんな病気で、それを治すためにどうして、もらってくれる人を探して、でも死んじゃった…とか、そういうことをひたすら細かく見て描いている。それを15年続けると凄い迫力があるんですよね。年月を経て迫力が分かってくるというか、最初の内はエッセーの一編、二編、三編だから、何をやろうとしているのか分からないんですよ。最初は猫の楽しいエッセー漫画を描きたいのかな、と思っていたんですけど、だんだんそうじゃなくなってくるのが凄い(笑)。大島弓子すごいなって、あらためて素直に思いました」

―猫が重要な登場キャラクターになりますが、撮影は大変だったのでしょうか?

「難しいけど、大変というのはちょっと違いますね。嫌な気持ちになるものではないし、ひたすらやるだけなので。エサでつったり、あらゆる手を使ってひたすらやる(笑)。犬は言うことを聞くし、意外といろんなことができるので、できなかった時にみんなガッカリするんですよ。スタッフも「何だよ~」って言ったりしちゃうんですけど、猫の場合はできなくても何も思わずにみんな見てる(笑)。猫はできないのがベースなので、できなくて「えっ!?」って言ってると収拾がつかないんですよ。座ってるだけもできないし、犬は『居ろ』って言ったら『分かりました』ってできるんですよ。それがOKの前に動くと、気分的に『あ~』ってなるんですけど、猫はそれがなくて『あ、動いちゃった』って。逆にじっとしてると『お前凄いな』って(笑)」

―物語の舞台になっている吉祥寺の魅力についてお聞かせください。

「中学から高校まで吉祥寺の学校だったんですけど、中央線の線路があって、北側が商業施設、サンロードがあり、なかみち通りの商店街があり、東急があり、昔は近鉄デパートや大塚家具だったビッグカメラがあり、その裏にも店があって、商業施設もいろんな幅のものがあるんですよ。そして線路の南側が井の頭公園で、ものすごく広いんです。もともと自然の森なので、造園した公園とは違う魅力があって、森というのが凄く身近に、街の中にある。しかもすごく広いから、そのバランスが凄くいいんですよね。それに森ってスピリチュアルな感じがあるので、ドラマでも映画でも、そういうニュアンスがあるシーンで使っています。商業施設と、スピリチュアルな場所である森。街の中でそれが共存していて、線路を挟んで行き来できるのがすごくいいですね」