テレビ、パソコン、スマートフォンで楽しめる定額制動画配信サービス「dビデオ」で、「ストロベリーナイト」「ジウ」などで知られる作家・誉田哲也原作の人気警察小説「ハング」(中公文庫)がドラマ化され、9月20日から独占配信中。同ドラマは“社会の闇と戦う男たち”を描いた大型オリジナルドラマ第1弾となっており、市原隼人、山本裕典らが男くさい重厚な警察ドラマで奮闘している。
そこで今回、市原演じる警視庁捜査一課の刑事・津原の同僚で、ムードメーカー&情に厚い小沢役の金子ノブアキにインタビューを行った。
――オファーがあった時の心境は?
僕もちょっと既成概念ができていましたが、これまでの作品には恋愛ものや、少女漫画チックといったライトな作品が多かったです。でも、ケータイなどのメディアでこういう重厚なドラマをやるっていうのは今までなかったので、すごくいいなと思いました。尺も1話20分ぐらいですが、今回のドラマの撮影は、本当に映画を撮っているのと変わらない感じでした。フットワークの軽いメディアでやるのはとっても意味があると思いますね。
――動画配信サービスとテレビでのドラマの違い、魅力は?
殺人の描写であったり、たばこを吸うシーンなど今のテレビではできないことが多すぎて。テレビや映画でもそうですけど、このメディアになってくると本当にどこで誰が見ているか分らないっていう。音楽とかでもそうですけど、ネットとかで “ボーン”ってチャンスが出てきて、急にハネたりとかってあるんで、自負できるものを作っていけば、きっといいことがいつかあるだろうっていう思いがすごくありますね。
――実際、骨太なドラマに出演してみた感想は?
むさくるしい方が楽ですね(笑)。逆に「喰う寝るふたり 住むふたり」('14年、NHK BSプレミアム)ののんちゃん役は、小沢とは全然違うんで難しかったですね。緩い方が楽しいですけど、もともとずっとバンドなんかをやっていて、こういう男まみれのドラマみたいな世界が多かったので、居心地はいいですね。
――役作りに関しては?
隼人くん演じる津原とは仲間だし、バディみたいな感じです。もともとミュージシャンとしての親交もすごくあったんですが、お芝居するのは初めてでした。でも、役柄上そういう関係は封印しなくていいな、そのまま出しちゃおうって話合いましたね。気心知れた仲だっていうところの空気感って画に映ったりするんだろうなって思いました。劇中の堀田班は、(リーダー・堀田役の)時任(三郎)さんを中心に、1週間ちょいぐらいしか現場で一緒に共演させてもらっていないのですが、バランスや呼吸がすごくよかったです。ボスが優しくて寛大なので、部下の僕たちの勝手な動きを許してくれるという(笑)。
――演じた小沢については?
こうやってチームプレーでやっていくのは、俳優の仕事っていうより、ミュージシャンの時と似ているなって思いますね。実は、小沢みたいなタイプが一番組織の事を考えているんでしょうけど。みんなのことが好きで、哀愁もありつつ…。こういう三の線の人って、ある程度の経験値があってそこにたどりついていると思っているので。そうじゃないとただのアホみたいになっちゃう(笑)。いろいろあって、ここにいるんだろうなと思って演じていました。
――印象的だったシーンは?
トウモロコシを食べるシーンでは、平川(雄一郎)監督から「思いっきり食って」って言われたんですけど、気管に入って「ブハー」ってなっちゃってNG出しちゃいました(笑)。人生であんなにモロコシ食べたのは初めてでした。あとは、堀田に電話を掛けるシーンでは、体制に歯向かうっていうシーンだったので、ここに掛かっていたのですごく集中しました。
――撮影秘話があればお願いします。
監督が、尺に対してスピード感を出すためにカット割りが従来の1.5倍から2倍ぐらいに増やしているっておっしゃっていました。「スゲー割るな」って撮影現場で思ったぐらいです。アクションとかは、ジャッキー・チェンとかと仕事をしているような殺陣師の先生が付いていて、素晴らしかったですね。堀田班が解散するシーンがオールアップした日だったので、名残惜しさはありました。これはキャスティングの妙なのか分かんないですけど、ものすごくバランスがよくて、いい感じでチームができていました。ただ「やり足りないな」ってすげー思いましたね!
――最後に一言。
こういう作品がケータイとかで見られるようになってきているっていうことに時代の流れを感じています。制作に踏み切った制作チームのチャレンジ精神とか、その哲学とかに僕は心底ほれました! 最高のスタッフとキャストです。カット割りを細かくしてみたりとか、いろんなことを考えて取り組んできたので、ぜひ見ていただきたいです。座長、監督中心にすごく丁寧に撮って、本当に体力を使う現場だったんですけど、みんな頑張ってやっていたので、いい作品になったと思います。どんどん広まっていってくれればと祈るのみです!
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)